| 料理の美味しさは自分で創るもの |
| 良く、何処のレストランが美味しいかと聞かれます。 皆さんのとっておきのレストランはどんな所ですか? 何を基準に選んでいますか? 美味しくてサービスや室内外の雰囲気が良く、しかもコスト パフォーマンスの良い所と、それぞれに注文が多いことでしょう。 料理に関係していればいるほど、難しいですね。 私は、料理は自分で美味しくするものだと思っています。 それは一体どう言うことか、どうすればよいのでしょうか。 行き着くところ、料理の美味しさは一緒に食べる人とその時の自分の 健康次第だと思っています。 平凡ですが、一緒に食べる相棒を、即ち、信頼できる相棒を大切に 育てていくことと平素の心身の健康を保つことが、結局は料理を 一番美味しくする鍵であると結論しています。 |
| 若いうちは、仕事や生活の中で、人や物との出会いは沢山あるものの、 その瞬間の大切さに気付かず過ごしてしまいます。 私もそうでした。 しかし、人間関係だけではなく、あらゆる接触物との関係の中で、時間は 確実に過ぎていきます。 そして、見逃すのは「時間軸」の大切さです。 フランス料理が世界遺産に登録されたのは、単に料理だけのことでなく、 食文化と言われるサービス体制や、時には外交の武器にもなった会食の 役割、位置づけなども重要な要素になっていることは論を待ちませんが、 歴史、即ち、時間の厚みが最大のポイントであろうと思います。 歴史が信頼を作り上げたと言えましょう。 勿論、人間は急速に好きになったり、美味しいレストランを新発見する ことも大切だと思います。これなくしては進歩も革新もありません。 あそこの味はどうだろう、次は彼を誘ってあそこに行こう等、好奇心が 拡がりの基本であることに異論はありません。 それゆえ、私もわずか2年のパリ滞在でしたが、その間にパリの三つ星の レストランはもとより、二つ星の全て、一つ星の半数近くを食べ歩きましたし、 その後のFFCC (フランス料理文化センター)での6年間を通じてもフランス 各地のレストランを訪ね、多くのシェフとも親しくなりました。 それでも、料理の味は自分で美味しく出来る、自分しか美味しく出来ないと 思っています。 私は一人で出掛けて味見をすることはありません。 多くの方がそうであるように、誰かと連れだって行くのが、私の 食スタイルです。 勿論、仕事や個人的理由で人と会食する時、時には気が進まない相手と 会食を強いられることは当然にあります。 なかなか美味しく食べられません。 そんな時は、レストランの値踏みをし、客観的にレストランを観察したり しています。 |
| 本当に美味しく食べられる時は多くはありません。 時間は常に大切です。人生の中で限られた会食の時間、少しでも 美味しくしたいと願っています。 相手を選ぶのではなく、美味しくなる相手を大切に拡げて行く。 生活や仕事の中で、今を大切にし、一人ひとりと歴史を作って いくことだと思います。 数は限られようとも信頼できる相棒を、時間を掛けて大切に育てる 気持ちを忘れないことが、明日へ繋がっていくものと思います。 |
素晴らしい相棒とご飯を食べる、これが料理を美味しくする最大の ポイントと考えています。 そして、料理に関わる仕事をしていく人は、まずは誰よりも美味しく ご飯を食べる体験を積み重ねていくことが、良い仕事につながるものと 思っています。 急がず、時間を無駄にせず、相棒と共に自分なりの歴史を重ね、 美味しい料理を自分で創って行きましょう。 |
| 武市 章 プロフィール 元 東京ガス(株) 取締役 元 (株)アーバンコミュニケーションズ 代表取締役社長 TEA Communications 代表 |