| 世界でがんばる日本人たち |
| なでしこジャパンの見事な勝利は、日本に明るい希望を与えて くれました。 多くの人たちがこれほどまでに感動したのは、彼女たちのひたむきに 努力する姿があったからでしょう。 |
| さて食の業界にも、ひたむきに努力を重ねている人たちが沢山います。 今回のなでしこのように「世界と戦う」をキーワードにするなら、 たとえばフランス、ニュージーランド、アメリカのカリフォルニアで 自らのワイナリーを開いて、ワインを造っている人たちがいます。 異国で土地を購入し、理想のワインを造ることは想像を絶する困難との 闘いだったと思います。 1本のボトルには、苦境をいくつも乗り越えてやっと手にした成果が 封じ込められているのです。 |
| フランスのMOF(Meilleuers Ouvriers de France: フランス最優秀職人章)という職人の技能に与えられる章に挑んでいる 日本人パティシエがいます。 彼はフランスのアルザスのパティスリーで、シェフ・パティシエとして 働いています。 そして、このたびグラシエ(氷菓部門)の最終選考まで残ったのです。 おそらく食の部門で最終選考まで残った、つまりファイナリストに なった初めての日本人ではないでしょうか。 MOFの食の分野は料理人、パティシエ、ショコラティエ・コン フィザー、グラシエ、ソムリエなど全14職種あります。 この章を受章するには3年に1度開催されるコンクールを受けて 合格しなければなりません。 フランスの料理人やパティシエたちにとって、このコンクールは最高の 栄誉とも言われています。 その理由は、かの有名なシェフ、ジョエル・ロブション氏でさえも 2度目の挑戦で合格を手にしたほど難しいからです。 ちなみにコンクールといっていますが、勝敗を決めるものでは ありません。 あくまでも受験者のレベルが合格に達しているかどうかをみるのです。 グラシエ部門は書類選考、筆記試験、実技予選、最終選考という流れで、 実技予選や最終選考では事前にフランス語の論文提出や口頭試験が あったそうです。 そこで彼は忙しい合間をぬって語学学校に通い、フランス語を再び 勉強したのです。 その一方でグラシエのMOF受章者の門を叩き、日本の専門学校では 学ばないアイスクリームの複雑な計算表の計算の仕方なども一から 覚えてマスターしました。 こうして言葉のハンディも克服し、氷彫刻やアイスクリーム、 アントルメなどあらゆるグラシエの技術を磨きぬいてこそ ファイナリストに残れたのです。 ここに到達するだけでも快挙といっていいでしょう。 |
残念ながら彼は、初挑戦の今回は合格となりませんでした。 しかしMOF受章者だけに許されている、トリコロールで彩られた 襟のコックコートが着られるよう、3年後に向かって決意を新たに しています。 「絶対にあきらめない」。異国の地で信じた道をひたむきに走り続ける、 こうした日本人たちもまた我々に勇気と感動を与えてくれる存在です。 |
| 食雑誌編集記者ショコラ プロフィール 食の雑誌編集記者。 レストラン取材を中心に、国内外の食の生産者をリポート。 |