フードコーディネーター取材特派員NEWS

「サロン・デュ・ショコラ・パリ 2012」と、気になるチョコレートのトピックス

その他

2012年12月3日

寒くなってくると恋しくなるのがチョコレート。 秋冬はチョコレートがよりおいしく楽しめる季節ですね。

今秋は、パリの「サロン・デュ・ショコラ」をはじめ、いくつかの国でチョコレートに触れる機会がありましたので、イベントレポート+その他のチョコレートに関する情報も交えてお伝えしたいと思います。

 

毎年秋に開催されるパリの「サロン・デュ・ショコラ」。今年で16回目を迎えるチョコレートの祭典です。 会場は、東京でいえばビッグサイトのような大きなホールで行われるため、駆け足で回るにしても数時間は必要!隅から隅までしっかり見ようと思ったら一日かけて楽しめると思います。

日本のサロンデュショコラ(伊勢丹)は、若い女性を中心に、チョコレートを買う方々で満員電車並みの混雑・・・という印象をお持ちの方も多いと思いますが、本場パリではファミリーも多く、小さい子からおじいちゃん・おばあちゃんまで、とにかくチョコレート好きな人々が楽しめるイベント。

サロンデュショコラパリ2012 会場の外観

ブースはフランス国内を中心にベルギーやスイス、イタリア等ヨーロッパ各国から、また、日本からもパティシェやチョコレートブランドが出展し、その数は合計で180ほど。 チョコレート以外にもカカオ生産者やスパイス、フルーツなど、様々な種類のブースが並びます。

サロンデュショコラパリ2012 セバスチャンブイエのボンボンショコラ

サロンデュショコラパリ2012 子供たちも大勢来ています サロンデュショコラパリ2012 ディスプレイも美しいスパイス屋さん

実際にモデルさんが着られるチョコレートのファッションショーも!着物の他、アジアをイメージした衣装がいくつもありました。

サロンデュショコラパリ2012 実際に着ることができるチョコレートの衣装

毎年の楽しみが、会場入ってすぐに飾られているオブジェ。今年はマカロンで彩られたかわいい車でした。(ちなみに昨年はジャン=ポール・エヴァンさん手掛けるチョコレートのベッド。これも素晴らしい作品でした。) サロンデュショコラパリ2012 マカロンで彩られた車 さらにもう少し奥に進んでいくと、「チョコレートの芸術」といえるべき作品が飾られています。ベルギーの「レオニダス」というブランドが手掛けたこのチョコレートは、アステカ神話に出てくる「ケツァルコアトル」という神様をモチーフにしたもの。500㎏のチョコレートを使用し、200時間もかけた大作です。(ちなみに高さは3.4m)

この「ケツァルコアトル」が飾られていることに、私は今年の「サロン・デュ・ショコラ・パリ」の心意気?を感じ、妙に納得、そして嬉しくなりました!というのは、カカオの歴史を辿っていくと、アステカの人々にカカオ豆を授けた・・・というくだりで登場するのがこの神様。だからこそ、カカオの本質やチョコレート本来の味を知り、味わおう、という「原点回帰」の思いがまさにこのオブジェに込められているのではないかと感じたのです。

サロンデュショコラパリ2012 チョコレートの芸術品

原点回帰。この視点からチョコレートを見ると、単なる「バレンタイントレンド」ではないチョコレートの楽しみ方に触れられる気がします。

ひとつは産地別カカオやカカオ濃度(%)へのこだわり。果物やナッツなどの素材やフレーバー等に頼ることなく、カカオ本来の味や香りを楽しむもの。カカオの産地ごとに特徴が異なるのは非常に面白く、テイスティングに慣れていないとしても、その違いや奥深さを感じられるはずです。マニアックに食べ比べたりするのを推奨するわけではないのですが、カカオの香り高いシンプルな、そして上質なビターチョコレートは、甘くてクリーミーなボンボンショコラとは全く違うおいしさを味わえるものだと思います。こうしたカカオへのこだわりを味わうには、ビターチョコレートのタブレット(板チョコ)が一番おすすめです。

サロンデュショコラパリ2012 カカオへのこだわりを訴求するブランドも多数

そしてもうひとつはスパイス。チョコレートとスパイスの相性はとても良く、ミルクチョコレートとナッツ、シナモンの組み合わせなどは日本でも人気。でも、海外で多いのは「チリ(唐辛子)」を加えたビターチョコレートです。これはヨーロッパもアメリカも共通していて、本当にあちこちで見ることができます。

チョコレートの味がチリと合う、ということももちろんあるとは思いますが、そのルーツは、やはり歴史をさかのぼりマヤ・アステカ文明にあるのではないかと感じます。今でこそ固形の板チョコを食べている私たち。でも、もともとはカカオ豆をすり潰して水を加えたところに、チリやバニラ、食紅などを入れて、身分の高い人たちの栄養ドリンク、精力剤的な飲料として愛飲されていました。そのことを思うと、チョコレートにチリを入れた商品が増えているのは単に味の面だけではなく、歴史の中から何かしら新しいアイデアやインスピレーションを得ているのでは?という気がしてなりません。

現にそれらの商品には、「Maya’s chocolate」「Maya’s Spicy」など、マヤの人々を商品名にしていることが多いのです。

サロン・デュ・ショコラの会場を後にし、パリの街中のショコラティエを回ってみると、「今年の新作は?」の問いに、やはり「産地別カカオのタブレット(板チョコ)。」と答えるお店がいくつもありました。 ベトナム産とか、ハワイ産とか、これまであまり知らないカカオ産地の商品を扱うショコラティエもチラホラと・・・。 日本でも、もうすぐ来るバレンタインシーズンにお目見えするのではないかと思います。

最後におまけですが、数か月前にアメリカのスーパーでも「STONE GROUND」のチョコレートを発見し、日本のチョコレートメーカーとも、またヨーロッパとも全く違う路線に驚いていました。「A Traditional Mexican-style chocolate, stone milled in small batches.」と書いてあるこのチョコ、つまりは、昔の人々が石の板でカカオ豆をすり潰していた時代を意識した“手作りチョコ”ということになります。 こうしたチョコレートを始め、大手チョコメーカーでもパティシェでもない、「アルチザン(職人)」的なチョコレート作りをする人々が、アメリカ(ニューヨーク、特にブルックリン)にも増えつつあるのは面白い傾向。チョコレートは、情熱を傾けるひとつの対象として十分に成り立つのではないかな?と思います。(もちろん大変なことは山のようにあると思いますが!)

さすがにサロン・デュ・ショコラのトピックスを全てご紹介できないのが残念なのですが、広い会場とたくさんのブースをどういう切り口で周るかにより、ひとりひとりが違う楽しみ方ができると思います。カカオ生産者を中心に回るのも良し、スターシェフやトップショコラティエを中心にミーハーに楽しんでみるのもアリだと思います!(笑)

冬の寒さは苦手な私ですが、様々なチョコレートが出回る楽しみな季節でもあります。ホットチョコレートや板チョコなどでカカオ産地の個性を味わうのもいいですね。皆さんもぜひいろいろなチョコレートを楽しんでみてください!