フードコーディネーター取材特派員NEWS

おいしいお米とキレイなお水からできる日本酒  〜素晴らしき日本の食文化を訪ねて〜

東北

2013年2月12日

白く澄んだお酒 天の戸Silky

日本酒は召し上がりますか?
この頃、日本酒はワインや焼酎など他のお酒に押され、そのシェアを小さくしていると言われています。私自身も、日本酒とあらためて向き合うことになったのはほんの数年前だったような気がします。私の暮らす秋田には、古くからの酒蔵がたくさんありますが、何とも贅沢な話で、お米・お酒が当たり前のように身近にある気がして育ちました。実際には時代に押されて立ち行かなくなり、やむなく閉鎖をしてしまった蔵もありますが、それでも横手市だけで現在5カ所の酒蔵が稼働していて、それぞれに特徴ある素晴らしいお酒を造っています。大人になって改めて日本酒のことを深く知るようになると、その地域の財産はまた違った角度から見えて来るものです。

泡はお酒が生きている証拠

初めて酒蔵を見学した日のことは今も鮮明に覚えています。

カンと冷えた蔵の中で、ふつふつと生きるお酒の声が聞こえる・・・。

発酵するお酒の命を聞いた瞬間でした。

趣向の変化によって日本酒の需要が減り、酒蔵が廃れてしまうことを危惧していろいろなイベントを開催する動きも目立っています。特に人の多く集まる場所、首都圏などを中心に女性に向けた日本酒の会が催されているようですが、かつてのイメージを払拭し新しい感覚でニーズを増やしていく、そのような戦略もありつつ、またそれを受ける女性側にも日本酒のイメージに変化が起こっているように感じます。

実際に、日本酒が女性の好む味わいに変化してきていますし、冒頭写真のように、テーブルに置いても華やかさを失わないようなお洒落なボトルデザインを進めている商品も多くなってきています。日本酒はまさに国が誇るお酒、私たちが守るべきお酒なのだ!そんな風に味わってみる楽しみ方が出来るのも女性ならでは。明るく楽しく飲める会で、日本酒は新たな発展期に入ったと感じます。

蔵のトレードマーク

 

今回は横手市5カ所の酒蔵のうちの一つ、浅舞酒造『天の戸』さんの“旨い酒”についてお伝えしたいと思います。

 

 

 

 

 

さて、日本酒のお話。日本酒は米、そして水、麹からできています。この捉え方に全国の酒蔵さんの特徴が出ます。

勾玉がトレードマークの浅舞酒造の蔵がある地域は、秋田県内でも米の生産量の多い地域として知られているところ。広い平野には広大な田が広がります。そしてここの蔵のこだわりが、地元のお米だけを使ってお酒を仕込んでいるということ。1988年に地域の生産者さんと共に酒米研究会を発足させ、天の戸のお酒には蔵から半径5キロ圏内の米しか使わないという方針を貫いています。お酒に使われるお米と、その生産者さんがしっかりと分かる仕組みを確立し、酒造りをする。つまり今でいうトレーサビリティの仕組みをお酒で実現させている酒蔵なのです。

さらに、水。蔵の真向かいには水を貯蔵する水屋があります。どうですか?桶の底まで碧く澄んでいる様子お分かりいただけるでしょう。そう、水が綺麗で美味しいんです。渾渾と湧き出る清水がこの地域の食文化を支え、そして今なお美味しいお酒造りに反映されています。蔵に引き込んだ水もご覧のとおり澄んでいます。これがお酒になるのですから、旨さが想像いただけるのではないでしょうか。

原材料に地域の資源を存分に生かし、そして伝え続ける技術で最高の作品(お酒)を造る酒蔵。目で見えるものと手で触れるものだけで酒を造る、そう杜氏さんはおっしゃいました。

規模は正直大きな蔵ではありません。生産量も限られていて、なかなか大規模な販売促進が出来ないということもあります。しかし、その人気は根強く、毎年冬になると行われる蔵開放の日には近くの方だけでなく、遠方から訪れるお客様もいるそうです。また事前予約で蔵の見学ができるのですが、その際には杜氏が作る蔵のまかない飯が提供されます。その一つ「酒粕の天婦羅」は、かの料理雑誌「danchu」にも紹介されたほど。

チーズを板糟で挟んで揚げただけ。  芳醇な酒の香りと濃厚な味。

実は、先日蔵内で開催された地元の日本酒女子会「さけがぁる」に潜入取材した際にその天婦羅を頂きました。ちなみに「さけがぁる」を主催する実行委員会はもちろん女子。やはり地元ながら日本酒から離れていく女子や、まだ日本酒を知らない女子に本来の日本酒の魅力を伝えたいと昨年発足しました。これまで開催された会にも参加させていただいたのですが、県内の酒蔵から選りすぐりのお酒が集められ、その特徴を感じながら日本酒の魅力を知り、また郷土の財産を知ることができる貴重な会でした。今回は天の戸のお酒を存分に楽しむ会。酒蔵で杜氏さんから直接お話を伺い、そして酒の仕込み樽で日本酒の声を聞き、味わうという贅沢なお酒の会です。初めて蔵を訪れたという若い女性も、しっかりと日本酒の魅力に浸ることができたようですよ。

 

 

 

 

 酒造りを担う杜氏さん。夏は田んぼや畑に出て汗を流し、冬は蔵に入り酒造りをします。それをそのままお酒の名前にしたのが『夏田冬蔵(なつたふゆぞう)』という商品。キレのあるすっきりとした味わいでどんなお料理にも合わせやすく、ふんわりしたお米の香りのする大好きなお酒です。とても人気で、毎年出るとすぐに完売してしまいます。

蔵人の思いが詰まっているお酒。

浅舞酒造の夏田冬蔵さんたちは、只今極寒の蔵の中で汗して酒の仕込みをしている期間です。鼻で、耳で、手触りで、ほんの少しの違いを見抜き、調整をしていく酒造り。気が抜けない期間が春まで続きます。こうした努力の雫を、私たち日本人が誇りと感じて享受する喜び。地元の蔵の話を私はこれまで何度も書かせてもらっています。取材する度に思うのは伝統の中に息づく日本の素晴らしさをしっかりと残したいということ。

“こころほんのり純米天の戸”

蔵に行くといつも笑顔で迎えてくれ、面白おかしく酒造りを紹介しながら蔵を案内してくださる、杜氏の森谷さんが目指す純米酒にこだわった酒造りは、2005年から連続して受賞している全国新酒鑑評会での金賞という評価で確実に結果残し、そしてさらに進化していると言えるでしょう。

ぜひその舌で味わっていただきたいお酒が、秋田(横手)にはあります。

 <取材協力>

浅舞酒造株式会社

秋田県横手市平鹿町浅舞字浅舞388番地

電話 0182−24−1030

HP http://www.amanoto.co.jp