フードコーディネーター取材特派員NEWS

今もなお鳴門で愛されるうどん「鳴ちゅる」

中国・四国

2013年8月2日

徳島県民は麺好き!?

徳島B級グルメといえば
とんこつ醤油味のスープに甘辛く煮た豚バラ肉と生卵をトッピングしたすき焼き風スタイルの「徳島ラーメン」が有名?ですがこの他にも徳島には半田そうめんや祖谷そばなど徳島ならではの麺があります。そんな中、まだ徳島県民でさえもあまり口にしたことがなくまして県外にも知られていない御当地B級グルメが徳島にはあります。

その名も<鳴ちゅるうどん>

麺王国、香川県に隣接する徳島では讃岐うどんに近いコシのある力強い麺のうどん屋さんが大半。いたるところにラーメン屋とうどん屋が存在し、香川に負けず劣らずよくうどんを食べます。

そんな中、徳島でも県北部の鳴門市で主に食べられているローカルうどんがあります。それが鳴ちゅるうどん。かのゆう私もその名は聞いたことがあっても食べたことがなく今回の取材で初めて口にしました。

◆鳴ちゅるうどんの始まりとは

徳島県鳴門市高島で生まれた鳴ちゅるうどん。ここは鳴門でも周りを海で囲まれたいわゆる離島でした。そんな高島地区、昔は塩田が盛んでそこで働く人達の3時のおやつとして女性が手打ちし食べられていたのが鳴ちゅるうどんでした。それが今では地元の人に愛されるローカルうどんとして定着したのです。

◆鳴ちゅるうどんの特徴

一般的なうどんにくらべて塩分を少なくし、水分量を多くした麺は細くて縮れ、食感は軟らか。手打ちで手切りであるため太さも長さも不揃い。具材はシンプルに刻んだお揚げとねぎ。出汁は黄金色のあっさりした醤油味。これが基本系で店によっては竹輪や若布を入れる所もあります。
おやつ代わりに食べられていたため作るのは主に女性。一般的にうどんはコシをだす為に粉を練ったり踏んだり重労働。女性でも作りやすくするために水分量が多くなったそうです。

◆鳴ちゅるうどんの名前の由来

徳島県の写真家 中野晃治氏が鳴ちゅるうどんの名付け親です。
<鳴る>
は 鳴門の鳴る
<ちゅる>
は 昼時になると鳴門市内の至る所でうどんをちゅるちゅるとすする音がきこえてきていたから。

余計なものは一切無し。シンプルでありながら後引く味はなんなのか。讃岐うどんとも稲庭うどんともきしめんとも違うまさに鳴門ならではのうどん。そんな鳴ちゅるうどんは地元鳴門で愛され続けてきたのです。

鳴門市内には鳴ちゅるうどんを出すお店が何軒もありますがその中には昔からの老舗もあればまだまだ新しいお店も。
そんな中、徳島でも1、2を争うであろう老舗店「船本うどん」に伺いました。

 

                                  船本うどん本店 

船本うどんは鳴門に2店舗、徳島市内に1店舗の計3店舗経営しています。昭和47年お好み焼き兼うどん屋として創業。三代目の時に鳴門うどん一本になりました。
今のご主人は4代目の安喜正満さん。船本の味を引き継いでいます。おやつだった鳴ちゅるうどんを食事として提供し始めたのはこの店だということです。

    船本のこだわり
<麺>
毎日職人が昔から変わらない方法で手打ち。
<お出汁>
代々受け継いだ出汁はいりこを使わず昆布とさばのみ。さばから出る甘みが優しく暖かい味。
<具>
葱とお揚げのみ。お揚げは同じ鳴門の老舗豆腐店のものだけを使用。船本うどん創業時からのこだわりお揚げ。

 船本では毎日本店で出汁をとり各店舗へ届けています。鳴門の水。それも高島の水でないとこの出汁の味はでないそうです。
毎日10時半開店、売切れ次第終了で早い時には12時にうどんは完売。地元の人から観光客まで幅広い人がやってきます。
お店は本当にディープな場所にあり、見つけにくい。それでもたくさんの客がやって来ます。
私が伺った日もうどんは完売。お店の方のご好意で1食分だけ残して下さっていました。

◆鳴ちゅるうどんの魅力とは?
これは実際に食べてみないとわからないかもしれません。事実、讃岐うどんの様なコシのある麺が好きな私も鳴門うどんは麺が柔らかいと聞いて敬遠していました。それが実際に食べてみると想像していたものとはまったく違うものだったのです。茹ですぎて柔らかくなったものとは違い、麺は細いながらもコシをのこしたもので、さばからとった出汁は甘くどこか懐かしさを感じます。シンプルでありながらこだわった具は出汁の味を素直に味わえさらに旨みを引き出します。地元、豆腐屋のお揚げは通常の物よりも厚めで出汁の旨みを十分に含み脇役ながら存在感を感じました。

 

            

 

 船本うどん店内

 

 鳴ちゅるうどん

安喜さんは言います「僕は同じものは作れません。」
毎日同じように打つ麺も同じようにとる出汁も毎日少しずつ違います。それはその日の気温や湿度。作る人の体調によるから。手作りの味だからこそ同じものは無い。365日お店に通えば365種類の味が味わえます。

安喜さんはこうも言っていました「海と山、そして谷のあるこの地に産まれ、この土地に惹かれ、これからもずっとこの地で生きていきたい。」

鳴門で生まれ鳴門で愛されてきたこのうどんは鳴門の文化でありこれからもずっと鳴門で愛され続ける家庭の味なのかもしれません。

船本うどん以外にも鳴るちゅるうどんを食べられるお店が何軒もあります。
鳴門市うずしお観光協会では鳴るちゅるうどんの魅力を広めるべく鳴るちゅるうどんマップもだしています。是非、徳島に来ることがあればこのマップを手に鳴門うどんを食べ歩きしてみて下さい。今まで出会ったことのないうどんに出会えるはずです。

                              鳴るちゅるうどんマップ

  船本うどん
徳島県鳴門市鳴門町高島字中島26 
℡.0886872099
10301400(売切れ次第終了) 定休日/水曜日
http://funamoto-udon.com/