フードコーディネーター取材特派員NEWS

「梅のさと美郷」 キレイの郷からうまれる極上手仕込み梅酒

中国・四国

2014年1月7日

「キレイのさと美郷」

美郷は全国初の梅酒特区に認定された”梅のさと”

徳島の東西を流れる清流吉野川添いに西へ。阿波の富士「高越山」のふもとの町からさらに山間へ向かうと人と自然が共存する町 美郷があらわれます。”梅のさと”である美郷では梅をつかった様々な加工品が作られています。その中のひとつ梅酒は・竜峡小梅 ・鶯宿梅 ・月世界といった3つの異なる品種の梅を使って作られます。今回私は60年以上梅の栽培に携わり徳島県から<とくしま²安農産物>の認証を受け、エコファーマーにも認定されている天野農園の天野栄さんを訪れました。

ご存知の通り <百花に先駆けて花が咲く> と言われるように寒さの残る2月、どの花よりも先に梅の花は咲き始めます。天野農園では小梅、大梅など5種類ほどの品種の木を育てていますがこれらの木を交配させるため花が咲くこの頃になると近くの養蜂所から蜂を借りてきて農園に放ちます。そして3月下旬、花が7割ほど散った時に梅の木の消毒と害虫の防除に取り掛かります。この作業を半月ごとに4回、5月下旬まで行うそうです。そして5月下旬~7月上旬。いよいよ梅の収穫が始まります。 大きい梅はひとつひとつ手で摘み取り、小さい梅は機械を使ってあらかじめ木の下に敷いておいたネットへ一気に梅を落としていきます。梅の収穫は梅の成長に合わせて行うため木によって収穫する日は様々。収穫時期が1年でもっとも忙しく人手が必要だそうです。梅の収穫が終わるとしばらく農園は手をかけずにそのまま放置しておきます。そして再び9月下旬頃から作業開始。まずは除草作業に取り掛かります。除草が終わると近くの堤防から敷き草を採ってきて木の下に敷き詰めます。この敷き草が有機肥料となり梅の木に合った土壌を作っていきます。私が訪れた12月は剪定作業の真っ只中。梅の木にまんべんなく日光が当たるようにするため余分な枝を切り落としたり害虫に犯された枝を取り除きます。実はこの作業が一番大切で重要なんだとか。寒空の中、天野さんは一生懸命この作業に取り組んでいました。

 

 

 

 

できる限り消毒の回数を少なくし有機肥料を使って育てられた天野さんの梅は本当に一年を通して丁寧に育てられています。梅の話をしてくれる天野さんの顔は嬉しそうで楽しそうで梅への愛情がすごく伝わってきました。

そんな天野さんの梅は東野リキュール製造場の東野宏一さんの手によって美郷ならではの梅酒へ生まれ変わります。東野さんはリキュール製造免許第一号を取得。夫婦二人、小規模ながらも日々研究に研究を重ね美味しい梅酒作りに取り組んでします。東野さんの東野リキュールでは三種類の梅酒が造られています。

  • 白竜峡・・・竜峡小梅を使った梅酒。喉越しがよくすっきりとした味で女性向け。

  • 紅竜峡・・・白鶯梅を使った梅酒。紫蘇で色と香りをつけ淡いピンク色とほのかな紫蘇の香りを楽しむ事が出来るロゼ梅酒。

  • 高越山・・・鶯宿梅を使った梅酒。コクと芳香な香りが楽しめるまさに王道の梅酒。

 

 

 

 

 

 梅酒の漬け込みは梅の収穫に合わせて行われます。天野農園で収穫された梅を夕方持ち帰るとまずは梅についた汚れを落とすため一度洗いにかけます。次に水切り作業。梅が乾燥するのを避けるため涼しいところで作業は行われます。夕方に持ち帰る梅の量はその日に収穫された梅次第。多い日もあれば少ない日も。収穫が多ければ作業は深夜まで及びます。「仕事はすべて梅次第。自分たちの都合で動くのではなく梅の都合に合わせて僕らが動くんです。だからこの時期になると体調を調えておかないといけないんです。」と東野さん。また奥さんからはこんな一言が「普段は喧嘩しても梅の前では喧嘩したことがないんよ。だって梅に失礼じゃない。」美味しい梅酒をつくりたいという思いは夫婦同じ。愛情込めてつくっているから自然と喧嘩もしなくなるそうです。梅は10日おいておくと重量が10%くらい減ります。これは梅の水分が減るから。梅の香りは梅の水分が飛んでいる匂いなんだそうです。だから東野リキュールでは収穫から24時間以内に漬け込んでしまいます。そのため1分1秒が命取り。段取りよく作業していきます。夫婦ふたり<あ・うん>の呼吸。漬け込むのは8ℓの瓶。少量ずつガラスの瓶に詰めていきます。最初に手間はかかりますがこのほうが外から確認もしやすく開封する回数も少なくてすむため旨みや香が閉じ込められるんだそうです。漬け込まれた梅酒に次に手を加えるのは8月末。ここで下に溜まった氷砂糖を一度攪拌。間で手を加えるのはこの一回のみ。そして11月中旬、梅酒は飲み頃を迎えます。

 品種によって異なる梅の風味や香りを楽しんでもらうためそれぞれを混ぜることなく漬け込まれた梅酒。天野さんの手によって丁寧に育て上げられた梅を最高の状態で漬け込んだ東野リキュールの梅酒は賞を頂くほど。また11月下旬には美郷で梅酒祭りが開催されます。クーポンを買って美郷内の7つの会場をまわり梅酒など美郷の魅力を満喫します。なんとこのクーポン、前売り千円で5枚綴り。色んな梅酒の飲み比べができるとあって梅酒好きにはたまらないイベントです。勿論アルコールを飲むイベントのため無料のシャトルバスが走ります。

東野リキュールの梅酒は製造所で購入できますが徳島マルシェのHPからも購入可能。でも是非製造所に行って直接話しを聞きながら自分にあった梅酒を選んでもらいたいですね。それは奥さんが「人との出会いが楽しい。お客さんに試飲してもらった時に”美味しい。”と言ってくれた時の表情を見れた時や”美味しかったからまた買いに来たよ”と言って来てくれた時は本当に梅酒作りをしていてよかったと思う。」と言っていたから。

”梅の郷”である美郷にはこの他にも梅干や梅エキスなど様々な梅を使った加工品があります。美郷の情報発信地となっている美郷物産館には梅酒は勿論、このような加工品の他、美郷で採れた新鮮野菜なども販売しています。

 

 

 

 

 

梅と共に暮らし梅と真剣に向き合う匠たちがここ美郷にはたくさん居ます。美郷の梅酒はそんな匠たちが作り上げた極上品。「キレイのさと美郷」ここでうまれた極上手仕込み梅酒。機会があれば是非一度ご賞味あれ。

美郷物産館 URL http://www.tsci.or.jp/misatoya/  tel:0883-26-7888

東野リキュール製造場    URL http://tokushima-marche.jp/umesyu/    tel:0883-43-2216

天野農園 tel:0883-43-2156