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今すぐ家庭菜園を始めよう!映画「たうえうた」

中部

2014年9月3日

映画「たうえうた」インタビュー

 先月、2014年7月23日(水)、24日(木)に名古屋駅西の映画館シネマスコーレで「たうえうた」という映画が上映されました。東京渋谷UPLINKで大好評だった本作品の名古屋公演でした。

「この映画作品は見終わった時が…始まりです」

 そう書かれたフライヤー。何が始まるのだろう、と思いながら映画を観て…トークショーを聞いて、納得しました。いきなり畑を借りろとは言いません。プランター栽培など、出来る事から始めましょう。

 映画のストーリーは、江戸時代から続く中部市の野田農場が舞台。主演女優は野田農場に嫁いだ、虫やカエルと心が通じ合う不思議な野田幸子おばあちゃん。ずっと続けてきた田んぼや畑。ある日突然、作付けしてある農地に通達も通知もなくブルドーザーが入ります。幸子おばあちゃんを始めとする野田農場の方々が抗議をするも、「違法ではありません」と突っぱねられてしまい…区画整理になっている土地のうち、野田農場だけきれいに掘り返されてしまいました。 その事件から数年経ち…作ったお米やお野菜を市場で売る幸子おばあちゃん。私も栄オアシス21で開かれている土曜日のファーマーズマーケットで美味しいお米やお野菜を頂いています。

 今回の映画上映の目玉は、上映後のトークショー。水澄(みずすまし)げんごろう監督、主演女優野田幸子さん、司会は元民放アナウンサーの藤原淳子さん。

水澄監督・幸子さん・藤原さん「本日は映画をご覧下さいまして、ありがとうございました」

 撮影時のエピソードなどを交えてトークが進んでいき、農業の話に移っていきました。

幸子さん「どなたか一坪農園とか、家庭菜園をやっている方はいらっしゃいますか?ドイツではクラインガルデン、ロシアではダーチャという家庭菜園があります。ロシアではソ連崩壊後に1万円が1円ほどの価値になってしまった時、ロシアの人々がどうやって生き延びたかご存知ですか?200坪から300坪くらいの広さのダーチャで、主食のじゃがいもや野菜を作ったりして何とか危機を乗り越えたんですよ」

藤原さん「自分で食べる物を自分で作る、ですね」

水澄監督「愛知県でも、少し山間地に行くと休耕田が沢山ありますよね。もう一度耕してお米や自分たちが食べる野菜が作れたら、例えば週休4日でも良いのではないでしょうか?そうしたらワーキングシェアも出来ますよね」

 皆さん、何故働くのでしょうか?勿論、仕事が楽しいから働く、という方もいますよね。しかし多くの方は、食べて生きるために働いているのではないでしょうか?勿論働いて得たお金と交換するものは食べ物だけではありませんが、食べるもの自体を作れば、食べ物を買うお金を稼ぐ必要はなくなりますね。

幸子さん「戦後、GHQは憲法制定、農地解放をやりました。農家の青年を集めて、4Hクラブ(Heads, Hand, Heart, Health)というものを作ったのです。元々小作農だった人達が自分の畑を持つわけですから、それはもうやる気満々で農業をやるのです。

 先日ウクライナで飛行機が落ちましたが、その時の映像を見たら、小麦畑が広がっていました。木原均(きはらひとし)さんを中心とする、三島にある育種学研究所で作られた六条大麦を特許を取らずに世界中に広め、世界を飢餓から救ったのです。偉大な日本人の業績です。

 私は浜松出身ですが、父は木原均さんたちに指導して頂きながらスイカを作り始めました。何故スイカと言いますと、いくら農家の生活改善を叫んでいても、麦や芋ではなく経済的なものを作っていかないと農家の生活は良くならないからです。それが4Hクラブの活動のひとつです。

 その4Hクラブを次の世代に渡したくても、名古屋で農家をやっている若い人は10人もいないのではないでしょうか。これは危機的状況だと思います」

 私も何人か若手農家さんとお知り合いですが、確かに愛知県東部、三河の方が多く、名古屋市で農家として働いている方はいません。

幸子さん「中小都市のサラリーマンの方々は餓死します、と言われたことがあります。東京や大阪は良いですよ。地方から物が来ますから。名古屋は危ないのです」

幸子さん「農地として使いにくい土地は荒れたり住宅地になったり…昔は、国破れて山河あり、でした。今は、国破れて山河なし、ですよ」

 観客の若いママさんから、「家庭菜園や畑をしたいと思っているのですが…何から始めたら良いか分かりません。実際には、何をしたら良いですか?」という質問がありました。

幸子さん「法律が変わってきました。生産緑地法という法律によって都市農業が活性化され、都市で農業に勤しむということがもっと身近になるのです。住宅地でもんぺ姿で農作業しているおばあちゃん達がいると思うんです。気軽に声を掛けて、お話ししてみて下さい」

水澄監督「名古屋市でも、行政が貸し出している農地があります。それを親子でやると、自然が身の回りにあることが当たり前の環境で子どもが育つことになります。『虫がいる!きゃー!』ではなく、『この虫、何だろう?』と触れ合うことが大切です。自分たちの身の回りで、出来ることから始めていくのです」

 なかなかセンセーショナルなトークショーで、今すぐ最低限自分たちが食べるものは何とかしなければ、という気持ちになりました。

 今こちらの記事を読んでいる皆様の中に、家庭菜園をしている方はいらっしゃいますか?畑を借りている方はいらっしゃいますか?ファーマーズマーケットでお野菜を買っている方はいらっしゃいますか?あなたのお家のお野菜は、実家のお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんの畑で採れたものですか?それとも、スーパーで買ったものですか?

 ねぎやじゃがいもなど、育てやすいものからで良いのです。自分で育ててみたい。その気持ちがあるのならば、今日から一歩を踏み出すべきです。幸子さんのお話に出てきたように、住宅地の中でも畑をやっているおじいちゃんおばあちゃんは沢山います。先生は、実は沢山いるのです。お庭がある方は耕し、ベランダがある方はプランターと土を買ってきて、近くに貸し農園がある方は借りる手続きをして、種や苗を買いに行きましょう。

 本作品は9月に大阪で上映予定です。きっと大阪上映も、名古屋上映のように満員御礼で立ち見が出ることでしょう。

映画「たうえうた」 http://taueuta.tumblr.com