フードコーディネーター取材特派員NEWS

国産紅茶専門店~ 紅葉(くれは)~

九州・沖縄

2015年3月11日

佐賀県佐賀市 「和紅茶専門店 紅葉~くれは~」

 店長 岡本 啓(ひろし)さん

 

彼がセレクトした紅茶は
味、香り、そして安全を追求した
生産者の顔が見える 日本産紅茶です!!

 

 

  温泉地でも知られる佐賀県嬉野市は500年前からの歴史ある茶どころです。
 そんな佐賀県佐賀市に日本の紅茶「和紅茶」に魅了され、 岡本さんは10年前に「和紅茶の専門店」を開店しました。
佐賀県産の紅茶はもちろん、 全国の産地、生産者の下を訪ね、自らの舌で味わい吟味し 厳選した国産紅茶を販売し、 それぞれの和紅茶が持つ特性に応じ、時に顧客の要望に応じてブレンドし、 全国の和菓子店、レストラン、ホテルなどへの商品開発を行い ました。
当時まだ知られていなかった「和紅茶」の魅力を伝えるため、 独自の和紅茶の淹れ方を提唱し、全国でセミナー活動などに奔走しました。
現在、日本でもまだ珍しい、「和紅茶のブレンダー」として活躍しています。

では、「和紅茶」と呼べる紅茶はどんなものなのでしょう。

岡本さんが語る国産紅茶とは

 

 「日本で育った茶の樹を使い、日本で紅茶に加工されたお茶」の事です。
「和紅茶」「地紅茶」「日本紅茶」等、色々な呼び方があります。
海外と同じように育てられた茶樹から作られても、日本の気候風土の影響を受け、昼夜の温度差が少なく、日照量が少ない環境で育つ日本の茶葉は、海外産に比べて、やさしい日本独自の味わいになります。  
一般的には「渋みが少ない」「うま味を感じる」「香りが甘く、大人しい」「製造後、数年おいてからが美味しくなる」などの特徴を持っていますが、生産地や生産者によってあじわいは大きく変わってくるため、一概には言えません。一般的に日本で作られた紅茶は日本の水やお菓子に良く合い、ミルクや砂糖なしでも美味しく入れられます。日本人好みの紅茶になる、と言ってよいでしょう。 原料の茶葉を海外から仕入れて加工だけを日本で行ったりすることは紅茶の場合は出来ません。
「国産紅茶」とは日本で一から作られた紅茶、と考えてほぼ間違いは無いでしょう。

 

知らなかった!!驚き「和紅茶」の歴史

 

 私自身、日本で紅茶が生産されるようになったのは、このところの国産志向の高まりと、日本茶の別な用途として、見直されてきたからなのだと、思っていました。
 明治初期、緑茶が生糸と並び最も重要な輸出品であったことは、知るところでしたが
紅茶が日本で輸出用に作られていたことは知りませんでした・・・・
和紅茶は、既に明治の開国以降、外貨獲得のための切り札として期待され、生産され、数奇な運命をたどり、やがて消え去っていったと云う、驚きの歴史があったのです。
 明治維新、政府の大久保利通、岩倉具視が欧米を使節団として訪れた際、ヨーロッパ諸国で緑茶ではない、紅茶文化が栄えていることを知り、日本で紅茶を作り輸出しようと事業を企てました。
中国から専門家を呼んで、指導を受けたり、したのですが上手くいかず
徳川幕末の幕臣で、静岡で茶の仕事に携わっていた栽培家、多田元吉をインドへ製造技術の視察に送り、アッサム紅茶の製造法、設備等を学ばせました。
この時持ち帰った種から育成された多田系品種と言われる品種に現在でも愛飲されている「べにほまれ」があります。
 その後、日本の紅茶として輸出が始まり英国などでも、好評を得た時期もあったのだそうです。しかし、明治の一時期と、昭和初期の世界不況の時代、戦後お茶が世の中に不足していた時期に一時期盛り上がりを見せたものの、値段が高い、等の事から、輸出の道が途絶えました。
 
1971年の輸入自由化により、安価な海外紅茶が入ってくるようになり、国策として華々しく始められた和紅茶の産業化は完全に終止符が打たれたのです。

 

再起した「和紅茶」の今

 

 紅茶といえば、まだまだ多くの人が、インド、スリランカの輸入紅茶だと、思っているでしょう。実際、手軽に身近に手に入る紅茶や、デパート等で販売されているブランド紅茶も海外の物が主流です。
 2000年頃から、再び、国産紅茶が注目されるようになり、現在製造されている国産紅茶は、以前の海外輸出用のセイロン系紅茶から、日本人の嗜好にあう、甘く優しい仕上がりの紅茶にシフトし、新たなお茶の形として様々な楽しみ方がされてきているようです。
 特に、ここ数年、国内で生産された「和紅茶」を扱うお店も多くなり、愛飲家も増えてきました。 昔から日本人が飲み続けてきた日本茶も、紅茶も同じ「お茶の樹」から出来るのだし 過去の日本の紅茶の歴史から考えれば、当然の事のようにも思えます。
ただ違うのは、今度は日本人が楽しむための紅茶であると云うことでしょう。現在は国内産紅茶の生産者数も300人を超えているそうです。

 

和紅茶ブームの火付け役

 

  岡本さんは、そんな「和紅茶」ブームの火付け役であり、和紅茶がここまで認知され、普及し始めたきっかけを築きました。
岡本さんは全国の生産者さんから直接紅茶を買つけ紅茶の販売をする方法をとっています。
 全国の生産者さんをたずね歩き、時には産地にとどまり、生産者さんと共に二人三脚で研究開発に努力し、栽培法、農業に対する姿勢や考え方まで、納得したうえで商品をそろえています。その経験を生かして業界初の
和紅茶の専門書「和紅茶の本~選び方から美味しい淹れ方まで~」を出版されています。

 以前、仕事で頻繁に海外に行く友人が、日本のフレンチが一番おいしいと話していました。私は、日本人の探求心は凄いと、常々思っています。

 世界の料理にはフレンチ、イタリアン、中華等、素晴らしい料理が沢山あります。好奇心にあふれ、勉強熱心で努力家な日本の優れた料理人は、瞬く間に「日本のフレンチ」「日本のイタリアン」「日本の中華」を作り上げました。
それは、決してレシピをなぞらえたものではなく、その国の料理を学び、基礎を知り、料理の生まれた歴史さえも探り、時にはその料理を作り上げた人の精神にまで入り込み思い悩むのです。そうして、知りえたその国の料理を尊重したうえで、日本人の味覚に合った日本人好みの新たな味を生み出しているのです。
だからこそ本物になるのでしょう。日本のものづくりに携わる多くの方々が持つ
日本の風土と共に培った精神だと思っています。
 真面目な日本人の其処が素晴らしい所であり、ややこしい部分でもあるのだと思うのです。

 まさしく、岡本さんもほんとに頑固なほどに一生懸命な九州男児です。
 全く何もない所から、いちから紅茶を学び、とことん生産者の方と交わり、スリランカや台湾海外にも出かけ、どういった人が、どういった場所で、どんな思いで、紅茶を作っているのかを自分の目で確かめ、今も変わらず生産者に寄り添い続けています。
生産者さんの作られた茶葉を大切に、いかに美味しくお客様に飲んで戴けるか、常に紅茶と向き合い、お客様の要望に応えるべく新しいブレンド紅茶を生み出しています。
 そうして、真面目に作られてきた日本の紅茶「和紅茶」は、日本人の味覚に受け入れられ、これからますます緑茶と共に日本人に愛される飲み物になるでしょう。
そして、過去の輸出紅茶の苦い思い出もおそらく、近い将来リベンジ出来る事でしょう。

岡本さんの紅茶に対する思いが、彼の本の巻末に読み取れます。
「茶の世界、和紅茶の世界がある限り、私はずっとずっと自分の無知を思い知り、驚きを知り、感動を知るでしょう。」

 岡本さんが語る「和紅茶」の種類と楽しみ方

 

 日本の紅茶を大きく分けると
「滋納(じな)」・・・緑茶品種を醗酵させ、うま味を引き出すような仕上がりの、嬉野紅茶等

やぶきた、さやまかおり、在来種等の一般的な緑茶用品種を使った紅茶渋みが少なく、じっくりと旨みを楽しむ日本人好みの味。和紅茶の大部分がこのタイプと考えてよい。

「清廉(せいれん)」・・・・すっきりした香りを楽しむ、さつき紅茶べにふうき等

べにふうき等の紅茶品種、みなみさやか等の特殊な品種で香り高く、心地よい渋みと切れのある味わい。柑橘を思わせる凛とした香りがある。


「望欄(ぼうらん)」・・・・海外紅茶に近い濃厚な味わいを持つ

べにひかり、べにほまれなどの、インド原産系の紅茶用品種で、程よい渋みがあり水色も濃く、ミルクティーや、焼き菓子に合うような濃厚な味わいがする紅茶。海外産の紅茶と同じような楽しみ方が出来る。
の3つに分けられます。

 

 

 

 

 たとえば・・・

 こちらは、お店で戴ける、和菓子とお紅茶のセット。お菓子は、岡本さん手作りの練りきり、干し柿、佐賀の銘菓マルボーロです。 紅茶は選ぶ事が出来ます。お薦めをたずねるのも良いですね!! 「嬉野紅茶熟成仕継」 嬉野紅茶をじっくりと後熟させた紅茶に、新しい紅茶を継ぎ足すことで独特な熟成を作りあげています。まろやかで優しい味わいで、上品な味わいの和菓子にピッタリでした。 茶葉のタイプは「滋納(じな)」

こちらは・・・

甘さ控えめの、佐賀県の蓮根ロールケーキと共に戴いた 「まりこ紅茶」ファーストフラッシュ べにふうきを使用した春摘み紅茶。 優しく、甘い香りを持ち、複雑で濃厚な香り、特にミルクティーとの相性も良いそうです。 茶葉のタイプは
「清廉(せいれん)」+「望欄(ぼうらん)」

 

 

こちらは・・・

私が主宰する料理教室の今月の中華に合う「和紅茶」を お店でお尋ねし、選んで戴きました 。
「南薩摩」ファーストフラッシュ
 

 濃厚な中華料理の後のお口直しとして、とてもサッパリした力強い味わいでした。 お色もシッカリ出ます。 皆さんと作った中華まんじゅう(黒ゴマあん)にも凄く良く合い 生徒さんから、大変好評でした。 茶葉のタイプは「望欄(ぼうらん)」
美味しく淹れるための抽出時間も教えて戴きます。

 

「和紅茶専門店 紅葉~くれは~」
2015年2月21日
佐賀市内の柳町に移転しました

 

柳町はかつての長崎街道、鎖国時代に唯一開港されていた長崎から京都まで砂糖を運んでいた 通称シュガーロードと呼ばれた街道跡地です
 
かつては東西の文化の行きかう町としてにぎわい、今でも昔の街並みの面影を残す歴史景観地区で、歴史民俗資料館やモダンなカフェなども並び、佐賀の魅力を堪能できる場所です。

    


 その地で、130年前から残る「旧森永家」の家屋がリノベーションされ、和紅茶に似合う素敵なお店に生まれ変わりました。
 「旧森永家」は、明治前期建築で、煙草の製造所兼販売所として建てられ、明治40年には呉服店へ業態転換し、昭和の一時期にはダンスホールとして使われていました。
 佐賀県には、マルボーロや羊羹等、銘菓が沢山あります
江戸時代、鎖国のもと海外との唯一の窓口だった出島から砂糖が長崎、佐賀を通って小倉へと続くこの道は、長崎街道「シュガーロード」と呼ばれていました。
そんな場所で「和紅茶」のお店・・・ロマンがありますね。

 

   

 看板は、昔の呉服店のまま

  同じ敷地内には、佐賀の手織物「鍋島緞通(だんつう)」の工房もあり
毎年この時期
佐賀城下ひな祭りでにぎわい県内外から多くの観光客が訪れています。

店内には、所狭しと、紅茶が並んでいます

  店内には 喫茶スペースがあり、カウンターでは、岡本さんが、紅茶について語りに語ります。 今、お薦めの紅茶やお菓子の話 。全国の茶葉を求め歩いた時の生産者さんの想い、紅茶の淹れ方まで・・なんでも気軽にお尋ねすることができます。

    

   テーブル席もあり、お友達同士違う紅茶を頼み飲み比べるのも楽しいですね。 オープンの日、教室が、終わってから、数人の生徒さんと伺ってきました。
岡本さんが考案した
・和紅茶用の宝瓶(ティーポット)
・雛守ひなかみ(宝瓶の保温と、持ちやすくするために包む布)
 も、素敵です!!

 

~ 取材を終えて~

 

 日頃から、主宰する料理教室でも必ずウェルカムティーをお出ししています。
朝から家庭の用事を済ませ、忙しいお仕事の久々の休日だったり、福岡や長崎からお見えの生徒様もいらっしゃり教室までたどり着くまで大変です。
お茶のひと時は、一息ついて気分を変えて、教室を楽しんで戴くための大切な時間です。
そんな時間のお茶は、やっぱり紅茶になります。

紅茶の豊かな香りには不思議なパワーがあると思っています。

 ~くれは~の裏手に咲くしだれ梅

 昨年秋、上京した際に立ち寄った
東京ミッドタウンの「虎屋菓寮」で思いがけず「嬉野紅茶」に出逢った時の驚きは忘れません。
~くれは~の岡本さんが虎屋さんのためにブレンドした「嬉野紅茶」でした。
佐賀県の「和紅茶」がこんな場所でも活躍していた・・ほんとに嬉しかったのです。栗のあんみつと一緒に戴いた嬉野紅茶がとっても美味しかったです。
 

 

 

 佐賀県の美味しい銘菓と共に
皆様も是非、「和紅茶」の美味しさに触れてみてください。
佐賀県佐賀市、素敵にリノベーションされた柳町に是非お越しください。
 そして「和紅茶専門店 紅葉~くれは~」を一度是非訪れてみてください。
きっとお気に入りの「あなたの紅茶」に出逢えるはずです。

 

和紅茶専門店 紅葉~くれは~
〒840-0823 佐賀県佐賀市柳町4-7
TEL&FAX: 0952-37-6718
MAIL: teapot@creha.net HP http://www.creha.net