愛媛県の食情報(1)

日本フードコーディネーター協会理事の関原雅人です。
今回より3回、愛媛県内の食について担当いたします。

私は大阪、福岡を経て15年前に愛媛県に移り住み、愛媛で過ごす生活も長くなりました。
愛媛の生活も踏まえながら、県内の食材や料理についてお伝えしていきます。
第1回目は、愛媛県の郷土菓子を選んでみました。

みなさま、お菓子で松山土産と聞くと何を思い浮かべられますか。
「一六タルト」、「坊っちゃん団子」を声が上がるのではないでしょうか。

実は一六タルトは、株式会社一六の一六本舗さんの店名がついた呼称、登録商標にもなっています。
私が愛媛に来たときは「タルト」と聞いて、洋菓子店の生地で作った器にクリームや果実が持った商品のイメージしかありませんでした。

茶菓子として「タルト」を出されて「これって一六タルトじゃないの」と勘違いしていたように、まったくタルトのことを知りませんでした。
地域の人たちは餡子をカステラ生地で巻いたものを「タルト」と呼んでいます。

県内では「六時屋さんが好き」「ハタダさんの栗の入ったのが好き」など、家庭でお好みがあるようです。
発祥は江戸時代にさかのぼり、最近は抹茶生地やチョコレート生地、餡に季節の果実などに変えた商品なども販売されております。

もうひと品は「坊っちゃん団子」です。
愛媛の観光地として名前があがる「道後温泉」の本館のお茶菓子として提供されています。
観光でいらっしゃた方は口にされたことがあるのではないでしょうか。
本館のお茶菓子は「うつぼ屋」さんの商品が提供されております。

坊っちゃん団子は3色の餡が特徴で、抹茶・黄(白餡)・小豆の餡にお餅が入っております。
夏目漱石の小説「坊っちゃん」から想像された方も多いのではないでしょうか。
小説内の団子屋のモデルになったお店が「つぼや」さんです。つぼやさんは明治16年創業、道後温泉の商店街に店舗があります。

観光で商店街散策しながら立ち寄られた方もいらっしゃるかもしれません。
つぼやさんのホームページによると、小説「坊っちゃん」が発表された後、漱石が食した「湯晒団子」より「坊っちゃん団子」を考案しましたとされています。
タルト同様に県下のお菓子屋さんでも製造されており、個包装にはいった商品やアレルギーに配慮して、黄色の団子に卵を使わずに製造しているものもあります。
また団子の色のバリエーションを現代風に色を変えたかわいい商品もあるんですよ。
つぼやさんのように製造数量に限りがあるため、当店のみの販売というお店と、流通を考慮に入れて保存がきく流通しやすい商品とが製造されております。
お土産として食べるか、現地で食べるか迷ってしまいますね。

次回は郷土料理をテーマにしていきます。

次回の食watchingは2023年8月公開予定です。