日本酒のお話(1)

日本フードコーディネーター協会理事の伊藤裕美子です。

今回は、私も大好きな「日本酒」の世界を掘り下げてみたいと思います。
1回目は「日本酒造りのポイント」について、
2回目は「日本酒の種類」について、3回目は「日本酒と料理とのマリアージュ」についてご紹介していきます。
さて・・・日本酒はどうやって作られているかみなさんはご存じですか?
第1回目は日本酒造りのポイントについて紹介します。

1.日本酒の原料である「お米」について
日本酒用のお米は酒造好適米と言われる専用のうるち米です。
お米をこだわりの割合で「精米」(磨き60%等というあれです)し、「洗米」「浸漬」「水切り」、お米の生のデンプンをα(アルファ)化し、麹菌の働きをよくする「蒸し」の行程を経ます。

2.「お米」のデンプンを糖に変える「麹」
「麹」とは麹菌を繁殖させたものです.蒸したお米に糖化酵素である「麹」を振りかけている様子をテレビで見たことがあるでしょう。
麹を付着させて米のデンプンを糖分(ブドウ糖)に変化させるのです。

3.アルコール発酵に必要な酵母を培養させる「酒母(酛:もと)」作り
(この辺りから少しややこしくなってきます)
「麹」で変化した糖分を、微生物である酵母がアルコールに変えていきます。
この過程で酒の母である「酒母(酛:もと)」ができるのです。
乳酸を含む「酵母」を培養した「酒母」でアルコール発酵が進む環境を整えます。
大きなタンクで醸造するための基となるのです。

4.「醪:もろみ」作りについて
「醪:もろみ」とは醸造を行なうための大きなタンクの中の日本酒になる前段階の液体のことです。
「酒母(酛:もと)」に水や蒸し米などを加え、タンクの中で発酵(醸造)が始まりますが、この工程を「醪:もろみ」作りと呼びます。

5.絞りから瓶詰め
出来上がった「醪」は濁っています。
それを酒粕と液体に分けていきます。
「醪」を酒ぶくろに入れて圧縮させていく方法と、圧縮させずに吊り下げ自然に滴り落ちる部分を集める袋吊りの方法に分けられます。
その後残った滓:おりを除く「おり引き」、「濾過」を経て低温加熱殺菌である「火入」を行い、瓶詰めされます。
このおりを残したお酒は「おりがらみ」と呼ばれ薄く濁ったお酒になります。
日本酒をもっと知って、今までとは違う味わいを楽しみましょう!

日本酒製造工程図
出典:日本酒造組合中央会

<(2)に続きます>
日本酒のお話(2)は11月公開予定です。