日本酒のお話(3)

日本フードコーディネーター協会理事の伊藤裕美子です。
最終回は、日本酒と料理を合わせる際の参考になる話をしましょう。

第2回でお伝えしたような「純米酒」「吟醸酒」「本醸造酒」の種類に沿って「吟醸酒には、この料理が…、純米酒には・・・・」とできればよいのですが、単純にあてはめることは難しいのです。
理由は、昨今、各蔵元がしのぎを削って蔵の個性を活かした美味しいお酒を作っているので、明確な分類は難しくなっているのです。
ここでは、日本酒を「香り」と「味わい」にざっくりと分けて考えてみましょう。

  • 「吟醸酒、大吟醸」は、華やかな香りで比較的あっさりと爽快な味わいが特徴です。

あっさりとしているため、風味の強い料理よりは、おひたし、カルパッチョ、お刺身で言うと白身などが合います。まずはお酒の香りを楽しんでみましょう。
※生酒とは、60度ほどの火入れをしないフレッシュさを味わえるお酒のことを言います。

  • 「本醸造酒」「生酒」は、吟醸酒より穏やかな香りで、フレッシュ感のある軽快な味わいです。控えめな香りのため、素材の香りや味わいを引き立てます。冷奴や、山菜の煮浸し、お刺身なら貝類など、あまり脂っこくない素材や料理がおすすめです。
  • 「純米酒」は、まろやかな香りとお米の甘味や酸味を感じることが出来るお酒です。お酒に複雑な旨味がありますので、料理にも同じようなバランスが必要です。比較的しっかりとした味付けの料理が合います。焼き鳥や煮物、天ぷら、脂のったお刺身などが良いでしょう。
  • 「古酒」「長期熟成酒」は、紹興酒のような力強くスパイシーな香りと、濃厚な味わいが特徴です。力強い香りですのであっさりした料理には強すぎますね。こちらは、チーズやカラスミ、中華料理が合います。

私は、日本酒が大好きなので、純粋に日本酒を楽しむことも多いのですが、日本酒とともに料理を口に含むとそれぞれの旨味が相乗効果となって強く感じることがよくあります。ここで書いた組み合わせは一般的に言われているものに、私の主観を入れてありますので、皆さんはこれを参考に自分の好きな組み合わせを見つけてくださいね。
日本酒に苦手意識のある人は、これからの寒い夜、家の近くのコンビニで売っているような安いお酒を燗酒にしてみてください。
ほっこりと胃袋の中から身体を暖め幸せな気分にしてくれますよ。

次回の食watchingは2023年1月公開予定です。