食べ物のアレルギーってよくわからない(2)

「食べ物のアレルギーってよくわからない」第2回目です。
担当は、日本フードコーディネーター協会常任理事の赤堀博美です。

50年前にはほとんどなかったアレルギーは現在では、3人に1人がその症状を持つと言われています。
食物アレルギーは1歳未満の乳児で最も多く発症しますが、厚生労働省の調査では小児から成人まで幅広く認められています。
小児期のアレルギーで最も多いのが鶏卵です。
しかし、成長とともに食べられるようになり、鶏卵、牛乳、小麦は小学校入学前には約8~9割は食べられるようになります。
一方でピーナッツ、魚介類、果実、そば、種子類のアレルギーなど成人型アレルギーは耐性を獲得するのが難しいと考えられています。
このように小児の食物アレルギーは直らない病気ではありませんが、自分の身体と向き合ってしっかりつきあっていく必要があります。

私の料理学園の子供料理教室に複数の食品のアレルギーを持つお子さんがいらっしゃいました。
明るく元気な女の子で小学校の低学年の時から毎月元気に料理教室にきていました。
でも、彼女は自分で作った料理を食べることができないので、いつもおにぎりなどを持って参加していました。
たまたま私が地域の小学校栄養士の先生方の研修会に参加した時も、そのお子さんのアレルギーのことが話題にのぼるくらいでした。
つまり、他に類をみないくらい症状が厳しかったのです。

彼女が中学受験などで忙しくなったことで料理教室をやめてから数年たったある日、近所のショッピングモールで買い物をしていたら、「赤堀せんせ~い!!」と元気な声がしました。
なんと、成長して高校生になった彼女とお母さまに偶然会ったのです。

そこで、最初に話してくれたのが「先生、私、何でも食べられるようになったの!」という嬉しい言葉でした。
話を聞くと病院に通ってしっかりとアレルギーを直したとのことでした。
明るく元気に話してくれましたが、どれほど大変な治療だったかとすぐに想像できました。でも、料理を作ることが大好きだったのできっと頑張れたのだと思います。

今も、料理教室には食物アレルギーを持つお子さんが通っていらっしゃいます。
本人はいろんな食品に興味深々です。
お母さまはお子さんのことだけでなく、料理教室にも迷惑をかけるのではないかと心配されています。
そんな時は、参加しているお子さん全員にアレルギーの話をします。
「みんなのように小さい子供のうちは食べられないものも多いけど、大きくなったら食べられるようになるからね。
高校生になって何でも食べられるようになった先輩もいますよ。
アレルギーのことはみんなで気をつけてみんなで助けなければいけないことですよね」と。

〈(3)に続きます〉
食べ物のアレルギーってよくわからない(3)は2021年12月公開予定です。