食べ物のアレルギーってよくわからない(3)

「食べ物のアレルギーってよくわからない」第3回目です。
担当は、日本フードコーディネーター協会常任理事の赤堀博美です。

私は料理学園での仕事と合わせて、テレビのドラマや映画などの作品で
登場する劇中の料理を作ったり、調理シーンでの役者さんへの調理指導
など担当しています。
料理は、ドラマでのシーンを彩る重要なアイテムになります。
そこでもやはり、アレルギーのことが一番大切になります。

作品の脚本の中で例えば、「お母さんの手作りのクリスマスケーキを
食べる」というト書きがあったとします。
私は真っ先に出演される役者のみなさんのアレルギーについてスタッフに
確認します。
子役の方が出演される場合はアレルギーを持つ方が多いのでより注意が
必要です。
鶏卵、乳製品のアレルギーがある場合、ケーキを食べていただくことが
できません。

その場合は脚本の内容を変更していただかなくては
なりません。
また、乳製品は食べられるが、大豆や豆乳のアレル
ギーをお持ちの方もいらっしゃいます。
その場合、本物の生クリームでデコレーションした
ケーキは食べられますが、市販のホイップクリーム
でのデコレーションは食べられないのです。
市販のホイップクリームには大豆由来の乳化剤が含まれることがあります。
さらには市販品のケーキを食べていただかなくてはいけない場合も、実際に
原料で使われているものがわかるものしか使うことができません。
生クリームとホイップクリームの違いや製造メーカーによっての原材料の
違いを把握していないと役者さんにお出しする料理を作ることができない
のです。

今年、担当したドラマでアレルギーをお持ちの
役者さん用に作ったサンドイッチです。
台本のト書きには「コンビニで買ったサンド
イッチ」とありましたが、実際の商品は食べ
られない原材料のものでしたので、アレンジ
してこの写真のようなサンドイッチを作成
しました。
小麦の代わりに皮には米粉を使用しています。
牛乳の代わりにはアーモンドミルクを使用して
います。
小麦、乳製品、大豆、など複数のアレルギーに
対応したものとしてご提案させていただき、番組スタッフにも試食して
もらい、本番で役者さんに食べていただきました。

食物アレルギーは日常的で身近な問題になっています。
加工食品にはアレルギー源となる原材料表示が義務化されてはいます。
しかし、まだまだアレルギーを持つ方が抱えている問題についてみんな
で共有する習慣が浸透していないと感じています。

フードコーディネーターは食品の知識をしっかりと身に着け様々な
お客様へ食をご提案する仕事です。
まさに、私達フードコーディネーターが率先してアレルギーについて
勉強してみなさまと一緒に考えていかなくてはならないと感じています。

次回の食watchingは2022年1月公開予定です。