植物性をチョイスする(3)

「植物性をチョイスする」いよいよ最終回となりました。日本フードコーディネーター協会理事の谷米です。
第3回は、植物性ミルクについて、最新のトレンドも交えて、一緒にみていきましょう。

牛乳に代表される動物性のミルクに対して、まず第2のミルクと言われる豆乳、第1回、第2回に続き、また大豆の登場です。
やはり日本人の食に欠かせない大豆ですが、実は自給率約10%、世界では食料ではなく燃料としてひっぱりだこ、日本の食文化は守られるのか?というお話しはまた今度にしましょう。
植物性ミルクといえば、日本では豆乳が主流でしたが、今は第3のミルクとして、オーツミルク、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルクなど様々な種類が購入できるようになりました。
それぞれの植物性ミルクの特徴としては、オーツミルクは、クセが少なく、すっきりとした飲み心地で、牛乳の代用として選択しやすいと言われています。欧米で人気上昇中です。
アーモンドミルクやココナッツミルクなどのナッツ系ミルクは、ナッツの香りが強く、牛乳の代用というよりは、香りを楽しむ飲み物や料理向けとしておすすめです。
カシューナッツやヘーゼルナッツ、ピスタチオなど植物性ミルクもあります。
お好みの味わいを見つけてみるのも楽しいですね。
ライスミルクは、日本人になじみ深い米が原材料です。甘酒のようだと表現されたりします。

牛乳は、良質なタンパク質や脂質、吸収されやすいカルシウムを含む栄養面で大変すぐれた食品であることはみなさん知っていますよね。
植物性ミルクは「ヘルシー」と思っている人もいるかもしれませんが、それぞれ栄養面で違いがあります。
例えば、豆乳は、無調整豆乳と調整豆乳でエネルギーが違いますし、コレステロールを含まない一方、鉄を多く含むなど特徴があります。
オーツミルクやライスミルクは、炭水化物や食物繊維を含むものが多いです。
ナッツ系ミルクは、脂質やビタミンEが豊富です。
植物性ミルクは、口当たりをよくするために、添加物として油脂を加えてある場合も多いです。
原材料表示や栄養成分表示などよく見てくださいね。

フード・マイレージと言われる食料の輸送に伴い排出される二酸化炭素が、地球環境に与える負荷に着目すると、生産地と消費地が近ければ、フード・マイレージは小さくなり、遠くから食料を運んでくると大きくなります。
現在の植物性ミルクの多くが輸入で、国内メーカーが生産しているものでも、原材料のほとんどが輸入です。
動物からの搾取をやめる代わりに、フード・マイレージが大きい食品を選択することが、将来の環境を守ることにつながるのか、とても複雑な問題ですね。

スーパーで売り場は拡大していますし、コンビニやコーヒーチェーンでも手に入るので、皆さんもぜひ飲み比べてお気に入りを見つけてみてはいかがですか?食の選択肢が広がりますよ。
その時に、この記事が栄養面や環境への負荷など少し考えてみるきっかけになれば幸いです。

3回にわたって、「植物性を選択する」を読んでいただきありがとうございます。
ビーガン、ベジタリアンの方だけでなく、手に届くところに植物性食品が広がってきていますね。
時々、植物性食品を選択することで、食の選択肢がひろがり、それが動物や地球に優しくすることにつながるかもしれない。
みなさんの選択により、食の未来がつくられます。

次回の食watchingは2022年7月公開予定です。