活躍するフードコーディネーター事例集

やりたいことをゆっくりと、ひとつずつ実現していきたい

「やまかめ食堂」主宰
レシピデザイナー

多田和代さん (徳島県)

レシピデザイナーでフードコーディネーターの多田和代さんは、四国・徳島で「やまかめ食堂」を主宰。“おうちごはん” をコンセプトにした料理教室や、ワークショップなどを行っています。

「食のことで頭がいっぱい」でフードコーディネーターに

多田さんは短大で栄養士の資格を取得。卒業後は事務職に就くものの「頭の中は“食”のことでいっぱい」で、食に関わる仕事を志すように。2004年に徳島で開講したフードコーディネーター養成講座に通って2005年度3級を取り、2007年度に「商品開発」、2009年度に「イベント・メディア」で2級を取得しました。
その後は、病院給食の仕事をしながら地元の情報誌にレシピを提供したり、お店を借りて1日シェフをしたりと活動の場を広げ、2016年からはそば粉の製粉会社の試作室で働くかたわら、「やまかめ食堂」の屋号のもと、食に関する活動を本格的にスタートさせました。

「料理をしない料理教室」が地元で評判に

そのひとつとして始めたのがユニークな料理教室。
「カフェの一部を借りられることになったんですが、営業準備中は調理場が使えない。そこで『献立Lesson』という“料理をしない料理教室” を始めました。毎回、ひとつの野菜をテーマに、それを使ってどんな料理が作れるかをワークショップ形式で全員で考えるんです」と多田さん。
新しいレシピを引き出すため、組み合わせる食材を指定したり、しょうゆ味、みそ味などメインで使う調味料をくじ引きで決めたりすることも。
本人のレシピ、ほかの参加者のレシピ、多田さん考案のレシピと1回でたくさんのアイデアレシピを持ち帰れる点が喜ばれ、参加者が増えていきました。

料理を“学ぶ”ことで家庭の味を作ってほしい

「基本、料理教室は、先生のレシピをその通りに作りましょうというもの。手間がかかったり、なじみのない材料をそろえるのが難しかったり、結局家で作らないことも。それに習ったレシピ通りにしか作れないので、自分の家の味にはなかなかならない。私は、誰もが家で簡単においしく作れる “おうちごはん” を伝えたいので、料理を “習う” のではなく “学んで” 帰り、家庭でそれぞれの味を作っていってほしいと考えています」と言います。

屋号「やまかめ」に込めた思い

豆腐マイスターの資格も持つ多田さんは、豆腐や大豆製品を使ったレシピ作りや料理教室、ワークショップにも力を入れています。今後はフードコーディネーターの資格とうまく掛け合わせ、地元の農家や豆腐屋さんとコラボした商品開発などを行っていきたいそうです。
「お店ではないのに『やまかめ食堂』と名づけたのは、食堂みたいに大勢の人が “食” を通してわいわい集まってくる場をつくりたかったから。今はまだ活動の拠点がないので、豆腐のアレンジ料理を提供したり、ワークショップができるような場所を持ちたいです。あと、フードコーディネーター1級もぜひ取得したい」と言います。
屋号の『やまかめ』に自分の思いを込めたと言う多田さん。
「『うさぎとかめ』では、歩みの遅いカメがウサギを追い抜いて山のふもとにゴールします。私はマイペースな “カメ” タイプ。食の世界でやりたいことをゆっくりでもいいからひとつずつ実現していき、目標にゴールしたいと思います」と語りました。

※記事内容および記事中の所属・肩書きは取材当時のものです。

プロフィール

多田和代さん

多田和代さん (徳島県)

フードコーディネーター1級(商品開発/2018年度取得)、2級(イベント・メディア/2009年度取得)
「やまかめ食堂」主宰、レシピデザイナー
著書『ちょちょいと作れる美味しいレシピ』(文芸社)
その他の資格:野菜ソムリエ、豆腐マイスター

人材ファイルへ

FCAJ 特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会 Arrow