協会員のヨコガオ

協会員のヨコガオ Vol. 52

資格取得が食のトータルプロデュース力向上に役立ち、資格の強みを実感しています

加治佐 由香里さん

フレーバーズ代表
香蘭女子短期大学非常勤講師
エグゼクティブフードコーディネーター/協会常任理事
フードコーディネーター1級(商品開発)・2級(3分野)

加治佐 由香里さん (福岡県)

Q.加治佐先生の職歴を教えてください

大学卒業後、銀行に就職し、営業の仕事に従事しました。 30代に入ってからは、通信教育事業を行う企業にて、小学生の指導に携わりました。40歳を機に将来を見つめ直し、「食」の道に入ることを決意。料理研究家のアシスタントとして3年間勤務し、フードコーディネーターをはじめ、食空間コーディネーターなど食に関する6つの資格を取得しました。 その後、フードコーディネーターとして独立。行政の食事業のサポートや六次産業化商品の開発、食品メーカーの商品開発、販売促進、料理本の制作等に携わってきました
一方、福岡、熊本、岡山の短大、専門学校などで、講師としてフードコーディネーターの育成に努め、20年以上教鞭を取っています。また、料理教室や食育講座、だし講座など、食関連講座の講師としても活動しています。


百貨店イベント

Q.加治佐先生のお仕事内容を詳しく教えてください

主に商品開発の仕事を行っています。 地域特産品や食品メーカーの商品、飲食店のメニューなど、フィールドは広範囲に渡ります。 今までで最も印象に残っているのは、熊本県との連携事業「UD(ユニバーサルデザイン)弁当」の開発です。このプロジェクトでは観光産業の活性化も視野に入れ、地域の飲食店を巻き込み、10種類のUD弁当を開発しました。物産館や百貨店で販売促進事業も行い、集大成として内閣府主催の「UD全国大会」で、その取り組みを発表しました。 また、料理本の制作を依頼されることも多く、熊本県発行の「米粉のレシピ集」や、「郷土料理レシピ集・DVD」の制作では、レシピ作成から調理、スタイリング、撮影まで、一連の業務に携わりました。ここ数年はフードライターとして、食関連記事の執筆や監修も行っています。教育部門では、短大でフードコーディネートや食文化に関する授業を担当しています。他にも百貨店や公共施設の料理教室、ホテルのマナー講座などを主宰し、数年前からは、「だし」に関する講座や講演会、イベントの講師も務めています。
また、レシピ本の制作・監修や、カタログ、パンフレットの撮影なども行っています。熊本県発行の「米粉のレシピ集」や、郷土料理レシピ集・DVD」の制作では、レシピ作成から調理、スタイリング、テーブルコーディネート、撮影の一連の業務に携わりました。
ここ数年はフードライターとして、食関連記事の執筆や監修も行っています。教育部門では、短大でフードコーディネートや食文化に関する授業を担当しています。 他にも百貨店や公共施設の料理教室、ホテルのマナー講座などを主宰し、数年前からは、「だし」に関する講座や講演会、 イベントの講師も務めています。


「ユニバーサルデザイン弁当」

レシピ本制作

カタログ制作

Q.フードコーディネーターになった経緯を教えてください

出産、育児を経験し、「食」の重要性を実感したことがきっかけです。当初は「食」について学びたいという意識で、食文化に関する文献を読んだり、食育セミナーに参加したりしていました。ちょうどその頃、通っていた料理教室の先生からアシスタントの依頼を受け、一歩ずつプロの世界へ。テレビの料理番組やCMの制作、料理雑誌の撮影、料理教室など現場を経験する中で、「もっと食に関する知識を深めたい。スタイリングやコーディネートの技術を磨きたい」 という気持ちが高揚してきました。プロとしての「学びの場」を探している時、当資格を知り、直ぐに3級試験を受験。その後、実践経験を積みながら、2級3分野、1級商品開発の資格を取得しました。


「米粉レシピ集」制作・監修

Q.フードコーディネーターでよかったことはどんなことですか?

まず、事業に総合的に携わることができる点です。 2級3分野の資格を取得したことは、トータルプロデュース力の向上につながったと思います。一つの食企画において、レシピ作成から調理、スタイリング、撮影、販売促進、イベント運営まで関わることも多く、資格の強みを実感しています。また、資格が信用につながり、クライアントに信頼してもらえることも大きなメリットです。さらには、協会活動に参加する機会を得たことで全国に人脈が広がりました。 今後も会員相互のネットワーク構築が進み、報交換や業務連携の仕組みが確立できるとよいと思います。

Q.コロナ禍により、お仕事内容に何か変化はありましたか?

コロナの影響を受け、ネットショッピングなどの通信販売関連の仕事が増えました。 その一つ、マイナビ社様の「マイナビおすすめナビ」では、「○○のおすすめ〇選」(例:「テーブルナプキンのおすすめ10選」)という記事の執筆、監修を担当しています。ここでは食のエキスパートとして、消費者が商品を選ぶ際のアドバイスを行っています。食品、食器、調理器具・機器など商品は多岐に渡りますが、公平な立場から推薦理由を言及するよう心掛けています。ネットの影響力は大きく責任重大ですが、フードコーディネーターとして、消費者と生産者、流通業者を結ぶ架け橋の役目を果たせればうれしく思います。 


「マイナビおすすめナビ」執筆・監修

Q.加治佐先生のフードについて一問一答

◆思い出の料理は?

博多の郷土料理「博多雑煮」です。 明治生まれの祖母から母、私、そして平成生まれの娘へと、代々受け継いでいる家庭料理でもあります。「博多雑煮」は焼きあごでだしをとり、ぶりとかつお菜を使用するのが特徴です。かつお菜は年末になると地元市場に出回る青菜で、かつお節のようなうま味をもつことに名の由来があるといわれます。他にも博多地鶏、蒲鉾、筍、しいたけ、丸餅など、たくさんの具材が入ります。お正月の食卓に登場する蓋付きの漆器の雑煮椀は、「ハレの日」の特別な器として、子供心に鮮明に記憶しています。

 

◆お気に入りの飲食店は?

博多港を臨む博多ベイサイドプレイスに 位置するフレンチレストラン「Sola」です。潮の香りや海風を感じる立地も素敵ですが、何より季節の恵み、地域の産物を活かしたクリエイティブな料理がお気に入りです。大胆かつ繊細な料理を繰り広げるのは、パリ、福岡でミシュランを獲得した吉武広樹シェフ。オープンキッチンのカウンター席では、シェフと調理スタッフが息を合わせ、テンポよく一皿を仕上げる「ライブ」の躍動感が味わえます。一流のフレンチを気取ることなくカジュアルに楽しめるのも大きな魅力で、「レストラン」という言葉の語源のとおり、私の「元気の源」となっています。

◆いま注目の食は?

料理の基本「だし」です。
日本料理では、昆布、かつお節、煮干し、乾しいたけなどの乾物が挙げられますが、これらはその土地の地理・歴史・気候・風土などを背景に生まれた食材です。各産地に足を運ぶと、先人の知恵に敬服するばかりです。 さらに、調理過程において食材から抽出されるうま味も「だし」として融合し、混然一体となったおいしさを 作り上げることも料理の奥深さです。「だし」は、その組み合わせや調理法により、料理を無限に展開させる可能性を秘めていると思います。


だし講座

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