活躍するフードコーディネーター事例集

エプロンから始まるコミュニケーションを提案したい

エプロンブランド「DRESSSEN」ディレクター

後藤順一さん (東京都)

後藤順一さんは、アパレル業界での経験を経て2014年にフードコーディネーターに転身。2015年にフードコーディネーターがプロデュースするエプロンブランド「DRESSSEN」を立ち上げ、エプロンから始まるコミュニケーションの提案をしています。

欲しいものがなければ、自分でつくる

「20年以上『衣』の仕事をしてきて、次の人生は『食』の仕事をしたいと考えました。レストランプロデュースやメニュー開発、経験を活かしてユニフォームのプロデュースなどもできたらいいなと思い、調べたところ、フードコーディネーターという資格を知りました」と後藤さん。協会認定校の江上料理学院で学び3級を取得します。そして、学校に通っているときに、エプロンをプロデュースするヒントを得ます。

「調理実習時には、アメリカに買い付けに行くたびに個人で集めていたエプロンを毎回変えて着けていました。すると、学長はじめ、先生や同級生の皆さんからとても褒められて。それならばと、デパートやセレクトショップなどに出かけて新しいエプロンを探したのですが、買いたいと思うエプロンが無かったんです。だったら自分で作ろうと思ったのがきっかけです」と言います。

メッセージ入りエプロンと日本製にこだわって

作りたいエプロンのアイデアはすぐに浮かんだという後藤さん。「無地のエプロンを使っている飲食店さんが多いことに気がついて、非常にもったいないなと。スタッフのエプロンにメッセージがあれば、そこからコミュニケーションが生まれる気がして、最初に『YES』というメッセージのエプロンを作りました。『ちょっと量を少なめにしてほしい』、『ちょっと辛めにしてください』などの要望にも『YESで応じますよ』というお店側の気持ちが伝えられたら」と言います。

短くても伝わる言葉を使い、細部にまでこだわりながら型紙を作り、素材には国産帆布を採用。下町の職人さんによって丁寧に作られたエプロンが、有名セレクトショップに並び、人気ドラマの衣装として採用され、多くの人に選ばれるようになりました。「日本製の素晴らしさを国内外に発信できたら」と後藤さん。

「得意なこと」、「好きなこと」を伸ばしたほうがいい

企業とのコラボから生まれる新商品発表会場では、後藤さんがプロデュースするケータリングも用意されるなど、フードコーディネーターとしての活躍の場が広がっています。「料理については専門家に任せて、私はメニュー提案や演出方法などのプロデュースに徹しています」と後藤さん。ケータリングの調理・運営を担当する横手喬行さんも「後藤さんのような資格を持っている方との仕事は、いろいろな面で大変勉強になります」と言います。
「フードコーディネーターは全体をプロデュースする仕事なので、自分一人で全てをやろうと思わないほうがいい。自分が得意なこと、好きなことを見つけて伸ばせたら、いろいろな発見があると思います。そういう意味ではエプロンを作るフードコーディネーターがいてもいいんじゃないでしょうか。今後は2020年に向けて、外国人に対応したメニュー作りなどを提案できたらと考えています」と語ってくれました。

※記事内容および記事中の所属・肩書きは取材当時のものです。

プロフィール

後藤順一さん

後藤順一さん (東京都)

フードコーディネーター3級(2014年度取得)
エプロンブランドDRESSSEN ディレクター
セレクトショップのマネージャー兼バイヤーからフードコーディネーターに転身。エプロンブランドDRESSSENを立ち上げる。フードカルチャーマガジン『RiCE』(ライスプレス)にて連載とスタイリングを担当
その他の資格:食育インストラクター

FCAJ 特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会 Arrow