活躍するフードコーディネーター事例集

コラボプロジェクトで若い人材を育成

名古屋文化短期大学 カフェ・製菓クリエイトコース 教授
パティシエール

山田実加さん (愛知県)

パティシエールでフードコーディネーターの山田実加さんは、愛知県名古屋市にある名古屋文化短期大学(協会認定校)で、学生たちに製菓理論、パティシエ技法、スイーツ実習などを教えるほか、自治体や企業が学生と連携して取り組む商品開発プロジェクトを多数手がけています。

ヨーロッパでの経験を、パティシエを目指す学生に

「大学生の時、将来について『モノを作って自分で売る仕事ができたらいいな』と思うようになり、自分で作れるものを考えたときに、ケーキにたどり着いたんです。当時は今のように情報を簡単に集められなかったのですが、自分なりに調べた結果『ケーキ=フランス』というイメージができあがりました。大学卒業後、3年間日本のケーキ店で働いてからフランスへ行きました」という山田さん。フランスで学んだのち、ベルギーで開講した菓子教室では、現地の素材を使い、『和』のテイストを取り入れた洋菓子を現地の人に教えていました。
ヨーロッパから帰国後、パティシエとしてフランス料理店での勤務を経て現在の大学に勤務するようになった山田さん。所属する食生活専攻で、フードコーディネーターの資格を持つ先生から勧められ、3級を取得しました。

連携プロジェクトが学生の実践の場に

大学で講義をしている山田さんのもとには、企業や自治体から商品開発やイベント企画に関する相談が寄せられ、それらの監修、アドバイス、レシピ提供などを行い、そこから学生と連携したプロジェクトが数多く生まれています。
「たとえば、企業とのコラボでは、クリスマス、母の日などのイベントに合わせたケーキやスイーツを学生が考案し、実際に売り場で販売もしました。声を出すのに戸惑いのあった学生たちも次第に慣れ、作るだけでなく、販売することの難しさを学んでもらいました。常滑市、半田市、碧南市、西尾市の4市が連携した『竜の子街道プロジェクト』では、特産である味噌・酒・白しょうゆなどの発酵醸造品を使ったオリジナルメニューの新商品を開発。学生が各地域に出かけて、地元の歴史や文化を知るところから始めました。学生たちは、ひとつの地域に密着することで、普段見えないものが見えてきます。地域に根差すということや地域との関わり方が学べたのではないかと思います」と言います。

面白そう! そう思える感覚が大切!

「食は無くなるものではないので、時代の流れに寄り添った形を提案できれば、仕事はあると思います。今は作ったモノの価値を引き出し、どのように販売するかということが求められる時代。新しい目線で、さまざまな方向から見ることができ、人がやらないようなことを『これ面白そう!』という感覚でできる人にピッタリな職業がフードコーディネーターだと思います。そのためには、食に関する歴史、文化など、背景をしっかり勉強しておくことも必要で、新しいものを考える時の前提になります」と語ってくれました。

※記事内容および記事中の所属・肩書きは取材当時のものです。

プロフィール

山田実加さん

山田実加さん (愛知県)

フードコーディネーター3級(2007年度取得)
名古屋文化短期大学 カフェ・製菓クリエイトコース 教授
パティシエール
大学卒業後、渡欧して研鑽を積む。帰国後は大学で教鞭をとりながら、企業や自治体と学生によるコラボ企画など数多く手がける。著書『発酵×スイーツ』(中日新聞社出版)

FCAJ 特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会 Arrow