ワイン好きが高じて食の世界へ。食や食文化の継承が使命と感じています

イタリア専門商社勤務
フードコーディネーター1級(商品開発)
入江 亜哉さん (兵庫県)
Q入江さんってどんな方?

ホームステイ先のローマでの思い出。マンマとグランマから家庭の味を学びました
自然が豊かで、醤油や素麺、いかなごのくぎ煮などで有名な 兵庫県たつの市で、生まれ育ちました。社会人になり、当初は食と全く縁のない企業に勤務していましたが、ワインを知るにつけ、これを仕事にしたいと思うようになりました。そもそも私がワインを好きになったのは、幼い頃から香道という香りの世界に興味があったこと。そしてワインの豊かな香りに触れると同時に、その鮮やかな色調、一言では言い尽くせない奥行きのある味わいに惹かれ、その世界観をもっと深く学びたいという強い想いでした。当時は、通勤時間に単語帳を使ってテロワールの勉強をしていたほどです(笑)。その強い想いが実って、大手酒類メーカーに転職することとなり、ワイン専任セールスとしてチェーンスーパーの個店担当、本部担当として従事しました。ここでワインの知識を習得し、小売マーケットについての理解を深めたのです。また、年3回ほど一般消費者向けワインセミナーの講師も務めました。
より専門性を高めようと、2005年よりイタリア専門商社に勤務。小売店、業務店、問屋などの担当営業を経て、2011年より営業活動全般に関するサポート業務を担当しています。毎年一度はイタリアを訪問し、ホームステイ先ではカリキュラムに沿った料理レッスンを受け、現地の食と食生活、家庭の味を学んでいます。異国を知れば知るほど日本の良さに気付き、歴史や魅力を諸外国に伝えたいという想いから、華道、茶道、香道を学び、有資格者として、今も探求し続けています。
また、食空間コーディネーターとして食全般を学び、年に一度、各地方の焼き物との出逢いを求めて産地に赴き、作家さんや窯元を巡っています。友人を招いて、出逢った器を使ったホームパーティを開くのが、私の楽しみのひとつです。とにかく食べることや飲むことが大好きです!
Q.お仕事内容を教えてください。

百貨店でフードイベントの講師をしました
業務用マーケットとして各種チェーン業務店、ホテル、デリバリー、ケータリング、一般レストラン、問屋などへ、各業態向けメニューの提案と開発、プレゼンテーションを実施してまいりました。
小売マーケットのチェーンスーパー、宅配、百貨店などに対し、店頭掲示用、配布用、チラシ用など、催事および通常プロモーションにおけるレシピの作成と、掲載写真の撮影を行い、メニュー提案プレゼンも行っています。いずれの業態も、メニューブックの作成や店頭告知POPなども作成しています。
そのほかに、 一般消費者向け料理講習会講師を務めるほか、イタリアンを中心とした国内外のシェフによる料理講習会実施時の料理アシスタントも行います。
私は、ホームステイや各シェフから学んだ知識を、アレンジして和風レシピを作成したり、日常に手軽に採り入れられるレシピを考案することを最も得意としています。
「いかに手軽で、おいしそうと思わせるレシピであるか」「料理を楽しく作れるか」「食べる側の喜び」「おいしいから拡がる笑顔」「そこにうまれる幸せ」。その実現のためには料理をつくる工程は短く、作ってみたくなるレシピであることに重きを置いているため、考案するレシピは3ステップで仕上がるものに徹しています。

(左上)小売マーケット向けのレシピ提案、(右上)彩りと栄養バランスを考えたレシピ、(下)中食向けアレンジレシピ
Q.フードコーディネーター資格を取得してよかったこと、協会員として活動していることは?
飲むことも食べることも好きな私なので、食に関する資格を取ろうと考え、このフードコーディネーター資格を選びました。おかげで、食に関する幅広い知識を身につけられ、提案の幅も広がりました。そして協会員になって、全国の食を生業とする方たちと出会えて、毎回刺激になり、とても楽しいです。協会員になって、某企業の記事の執筆を手伝ったり、協会より機会をいただいて、あるレモン農家さんに取材に行ったのですが、そこが全国区になってきたことに、非常にうれしさを感じています。
Q.フードについて一問一答
◆好きな食材は?
野菜全般。
いろんな色、いろんな形。そしてそれらが主役にもなり、脇役にもなり、様々な姿に変化していくさまに、料理欲が掻き立てられ、ついつい出先にも関わらず、大量に買い込んでしまいます。特に、国産レモンに注目していて、新たなレモン製品の可能性やレモンの持つパワーに惹かれています。
◆最近作った、または食べた料理で記憶に残ったものは?
先日3歳の甥が作ってくれた『卵焼き』。彼が担当したのは、
・割った卵を混ぜること。
・塩コショウを言われたとおり、卵液に入れること。
・出来上がった卵焼きを一緒に包丁で切ること。
で、後はすべておばあちゃんが作ってくれましたが、『僕の卵焼き、おいしいでしょ』と満面の笑顔です。でもこうやって、おばあちゃんから料理を学び、作る楽しさ、おいしいと喜ばれる喜び、を体感して、人は学び、育っていくのだと再認識させられました。そう思ったときに食、食文化の継承というのは、いまを生きる私たちにとってある種、使命のようなものだと感じています。