日本初のフードコーディネーター養成コースを開始。資格取得のための啓蒙活動を行っています

赤堀料理学園 校長
エグゼクティブフードコーディネーター
赤堀 博美さん (東京都)
Q.赤堀さんの職歴を教えてください
小学生の時から実家の料理学校の仕事を手伝ってきました。昔はスタイリストもいなかったので、料理本の撮影の時は、デパートや食器店で、撮影用に食器を貸してもらえるように交渉していました。
大学在学中から、料理教室の講師や食のイベントでフードコーディネーター的な仕事をしていました。
大学院を修了して、実家の料理学園に就職。ほかにも、いろいろな大学の助手やプロのシェフの料理教室でアシスタントをしていました。
海外の方への料理教室
Q.赤堀さんのお仕事内容を詳しく教えてください
現在は、赤堀料理学園の6代目校長を務めています。学園での料理教室、フードコーディネーター養成コース、子供料理教室などを担当しているほか、大学で非常勤講師、テレビ・映画の料理指導などを行っています。
食品企業の社外取締役や、日本フードコーディネーター協会の常任理事にも就いています。

撮影時の監督との打ち合わせ

カメラ前でスタイリング
Q.フードコーディネーターになった経緯を教えてください
フードコーディネーター養成コースを作ったのは、赤堀料理学園が最初だと思います。
その後、日本フードコーディネーター協会の立ち上げに関わっていますので、フードコーディネーターになったというか、フードコーディネーターという新しい職業を作るために、啓蒙する任務を請け負った感じです。
Q.フードコーディネーターでよかったことはどんなことですか
協会設立当初は、フードコーディネーターというと、「食べられないものを使って、ただ単に、きれいに盛り付けしたり、派手にコーディネートする人」というよくないイメージがありました。
時代と共に食文化の重要性が再認識されはじめ、食のアドバイザーとしての地位が確立されてきました。
これは、協会設立以降、携わっていただいた皆様の御尽力のおかげと思っています。
Q.コロナ禍において、お仕事内容に何か変化はありましたか? ご自身で仕事内容を変えた、工夫したなどの例がありましたらお教えください
私自身の仕事のやり方は、特には変わっていません。
もちろん、大学の授業がリモートになったり、最初の緊急事態宣言時には料理教室を閉めましたし、撮影などは一切できなくなりました。ただ、飲食店やエンタメ業界の方々のような、制限があるわけではありません。かえって、家にいることが多くなった消費者の方々に向けての情報発信の必要性が出てきて、急遽、企画を変えてCM撮影を行ったり、コロナの感染に注意しながらの仕事で、逆に忙しくなりました。
コロナ禍になったことで各業界の方々が衛生意識が高くなったことは、とても良い影響だと思います。
さらには、健康、栄養、命についても意識していただけるようになったのではないでしょうか?
ドラマや映画でよく登場するパフェ
Q.赤堀さんのフードについて一問一答

◆最近作った、または食べた料理で記憶に残ったものは?
あるドラマの中での料理ですが、「あんかけ焼きそば」を作りました。
この料理の設定は、ある高校のラグビー部の学生たちがいつも行く、学校の近所の中華屋さんの「あんかけ焼きそば」というものでした。家庭料理ではなく、町中華の料理で、さらにはこの料理を食べて泣くシーンでした。ですから、思わず高校生の頃を思い出し、涙するような「あんかけ焼きそば」って? といろいろレシピを工夫して作りました。ご出演の大ベテランの俳優さんに、「これ、おいしいね!」と言っていただけたのは、とてもうれしかったです。
最近では、現在放送中(2023/3/15現在)の日本テレビZIP!内朝ドラ「パパとなっちゃんのお弁当」もすべて料理監修をしましたし、その番組に続く、TVer番組では主演の藤木直人さんが料理を作られている番組も監修しました。
スタジオでは慌ただしい時間
人気ドラマで登場したおせち料理
◆思い出の料理は?
母が作る料理は、いつも撮影の残り物を工夫したメニューで、名前のない料理ばかりでした。カレーの中に焼き魚が入っていたり、普通のハンバーグや普通のカレーが食べたいといつも思っていました。小さい頃の私の弁当には、星形やハート型のにんじんではなく、星形やハート型を抜いた残りのにんじんの周りが入っていました。撮影で星形とハート型は盛り付けに使うので、私の弁当には残ったにんじんが入っていたのです。
そんな母の料理でも、油揚げを甘く煮たものは大好きで、今もよく作ります。おいなりさんも大好きですが、油揚げを短冊に切って甘辛く煮ただけのものです。炊き立ての白飯と一緒に食べます。
あと、母のみそ汁はだしをとった後のいりこやかつおぶしが、そのまま具として入っていて、すごく嫌でした。
でも、私の娘は小さい頃からそれが大好きです。生徒のみなさんに、だしは漉します…とお伝えしていますが、家では濾さずに食べちゃっています。
◆お気に入りの飲食店は?
いつも決まったお店にしか行かないです。仲良しの料理人さんやシェフは、昨年、今年と、お店を閉めてしまった方が多いです。
代々行っているのは、そばは神田のやぶそば、うなぎは浅草の前川、とんかつは上野のぽん多と、江戸っ子の定番です。浅草のむぎとろ、日比谷の松本楼さんも定番ですね。今半さんは大学の大先輩のお店です。西麻布のアルポルトの片岡護さんは、私が学生の時からご指導いただいている、師匠のお一人です。また、中華トゥーランドットの脇屋シェフ、そして脇屋さんとも仲良しだった、つきじ田村の三代目の田村隆先生にもご指導いただきました。田村先生がお亡くなりになられたとの知らせには、大ショックでした。つきじ田村の田村先生ご一家には、代々とてもお世話になっています。
◆勝負メシは?
勝負に勝つには、絶対にブドウ糖です。ですから、勝負飯はご飯です。
それもご飯だけよりも味噌汁や納豆などの大豆製品と一緒に食べると米に含まれているアミノ酸組成の価値が高まって、たんぱく質としての効果も出ます。さらに魚の脂を一緒に摂取すると、一気に体が覚醒します。
日本の朝ごはんはそのものが勝負飯です。
◆いま注目の食材は?
軽井沢にある和食店で「くつかけステイ」というホテルの中の「くつかけダイニング」、同じ系列のお店で和ビストロ「五感」は、地元の食材を使った軽井沢でも貴重な和食のお店です。よく知った方がオープンしたお店なので、軽井沢に行くたびに訪れます。先日も地元の酒粕を入れたレモンサワーをいただき、とても美味しくて、酒粕と甘酒を購入して帰京しました。
赤堀の3代目が昭和初期から中軽井沢に別荘を構え、海外からのお客様もおもてなししていました。今もその地に「赤堀軽井沢ハウス」があり、長く軽井沢にはご縁があります。
※記事内容および記事中の所属・肩書きは記事公開時のものです。