教室を主宰して、作り方だけでなく食べるシーンまで提案できるフードコーディネーターを目指しました

「アトリエ・あんふぁみーゆ」主宰
フードコーディネーター2級(商品開発/イベント・メディア)
中出 真理子さん (大阪府)
Q.中出さんの職歴を教えてください
大学の英文学科を卒業後、英語を活かせる企業に入社しましたが、自分でパンが作れる喜びや、手作りパンを囲む幸せな時間をたくさんの人に届けたいと、自宅でパン教室をスタートしました。パンを作るだけでなく、パンを食べるシーンまで提案したいと思い、食空間演出や、フードコーディネートを手がけている会社に入社しました。協会の名誉理事でもある阪口恵子先生の会社だったのですが、テーブルコーディネートをはじめ、フードコーディネート全般について学ぶことができました。
その後、短大や大学の非常勤講師となり、フードコーディネート論、テーブルコーディネート実習などを担当。
食品メーカーの撮影フードコーディネートなども担当し、2018年からは、テーブルフォトスタイリストとして、フォトスタイリング、撮影活動を本格的にスタートしました。



Q.どうしてフードコーディネーターになったのですか?
パン教室を始めた時、単にパンの作り方を教えるだけのレッスンにはしたくない、できあがったパンを食べるシーンまでを提案できるようになりたいと思ったのです。なので、まずはテーブルコーディネートを学びました。
テーブルの上から食空間、それがフード全体への興味へと広がっていきました。
おいしく、楽しく食べられることが豊かで幸せな人生につながる。
だれもが笑顔になれる食について、いろんな面から提案できるようになりたいと、フードコーディネートを学び、実践を積んでフードコーディネーターになりました。
Q.フードコーディネーターになってよかったことは何ですか?
「食べる」ことは「生きる」こと。それをより一層「楽しく幸せに生きる」ことへと変えられる術があると知りました。私自身の人生だけでなく、周りの人たちの暮らしを変え、心豊かな毎日にしていけるとわかったんです。これからの日本を担う若い世代の方に、伝えることができる環境にあることは、とても幸せなことだと思っています。
さらに、テーブルフォトスタイリスト、カメラマンになってからは、SNSでフード写真を発信することで、もっとたくさんの人に見てもらえることをお伝えできるようになりました。
今や普通の人がSNSで発信することによって、インスタグラマーになったり、インフルエンサーとして活躍できるようになりました。私は、フードコーディネーターならではの視点で、フード写真の撮り方やスタイリングをお伝えできると思っています。
写真で見た目の美しさを訴え、実際に食べて幸せを感じてもらう。
フードコーディネーターの役割も広がったと思います。



Q.コロナ禍において、お仕事内容に何か変化はありましたか? ご自身で仕事内容を変えた、工夫したなどの例がありましたらお教えください
2020年の最初の緊急事態宣言中で、まったく外出できなくなってしまった時に、他のジャンルのオンライン講座をいくつか受けて、オンライン講習の方法を研究し、スマホフォトレッスンなどに取り入れることにしました。
今まで写真は対面でしか教えられないと思っていたのですが、受講する側も外出できないので、「自宅で受けられるなら」という希望者が多くいらっしゃったのです。
今では、ほとんどの写真講座をオンラインで行っています。(希望者のみ対面プライベート)
たとえば、食器やクロス、背景ボードなど、スタイリングに必要なものを揃えて写真の世界観を作り上げる講座があります。その際、WEBのECサイトでスタイリング用の小物類を代行で探して受講者に提案し、それを使って写真を撮るレッスンも、すべてオンラインで行っています。提案した小物類は受講者に自ら注文してもらうため、撮影用品一式が受講者のご自宅に届きます。こまごましたものを持ち運んだりする手間もなく、レッスンが始められ、オンラインでよかったと思っています。


オンライン写真講座のメリットは、受講者の自宅の環境を活かして撮影するため、どこでどのように撮ったらいいのかをアドバイスできることです。
対面講座の場合は、往々にしてレッスン会場の環境がよいため(窓が大きくて明るい、撮影場所が広い、スタイリング小物が揃っている等)、きれいに撮れるのは当然です。でも、自宅に帰って撮影しようとした時に、どこで撮ればいいかわからない、場所がない、やっぱり自分には無理!と感じる人もいらっしゃったと思います。オンライン講座では画面を拝見しながら、撮影場所や撮影位置のアドバイスをしたり、受講者の自宅にあるものを使ってどう撮ればいいのかを、具体的にお伝えできます。
「こんなふうに撮ればいいのですね!」「これが役に立つとは思っていませんでした!」「家には写真に使えるような食器がないと思っていましたが、こんなふうに使えるのですね!」などと驚いたり、喜んでいただいたりしています。
撮った写真をその場で転送してもらい、共有画面で見ながら添削・アドバイスをして、対面で受けるのと変わらないように工夫しました。ほかの受講者の写真へのアドバイスも参考になります。
アドバイスを受けて、その場で撮り直してもらい、写真が変わることを実感してもらっています。
オンライン講座で気を付けていることは、わかりやすく的確な言葉を選んで説明することです。
たとえば物の配置を変える時など、対面であれば手で動かせばいいだけですが、オンラインでは、言葉で具体的に指示しないと相手には伝わらないからです。
また、ものの大きさや形状を画面から把握することも大切だと思っています。
「手前に置いたものの方が大きいですよね?それを向こう側に置いてみましょう」などと、写真を見て、一瞬で判断して指示をするように心がけています。
あとは表情と話すトーンなども気を付けています。明るく、楽しく、時にはユーモアたっぷりに。
相手はかなり集中して疲れると思いますので、終わった後、「楽しかったな」と思ってもらえるように気をつけています。


Q.中出さんのフードについて一問一答

◆思い出の料理は?
料理ではありませんが、高校時代留学先のカリフォルニアでしぼりたてのオレンジジュースのおいしさに感動しました。
◆勝負メシは?
お好み焼き
自分が作るお好み焼きが一番おいしいと信じています(笑)
◆いま注目の食材は?
米麹、甘酒、塩麹、味噌を常時手作りしています。
うまみ、甘味があり、おいしくて健康にもいい、素晴らしい食材だと思います。
※記事内容および記事中の所属・肩書きは記事公開時のものです。